至学館の豆知識

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2017年3月

女性(女子)とスポーツ

 “なでしこジャパン”の活躍で女性のサッカー愛好者が増えましたが、レスリングや柔道などの格闘技でも女性アスリートの活躍が注目を浴びています。
 右の表は最近のオリンピックの日本人選手の数です。
 アテネ大会やロンドン大会では女子選手数が男子選手数を上回っています。こうしたトップアスリートの活躍から、わが国では女性のスポーツ参加が盛んになってきていると思いがちです。しかしながら、文部科学省の調査報告(図1)によると、小・中学校女子の運動時間は男子よりはるかに少なく、女子 の運動離れに警鐘を鳴らしています。


体育科教育学
健康科学部 こども健康・教育学科


2017年2月

中国観光客の「爆買」のわけ

 2015年に中国観光客の「爆買」は日本の流行語にもなった。その背景は、円安を追い風に中国からの訪日客が急増したのが大きな要因となった。日本政府観光局の統計によると、2015年の訪日外国人客数は1973万人となり、内中国からの訪日客は2014年の2倍強の499万人に急拡大した。この日本で中国の観光客がものを買い漁る光景は、1980年代バブル期に日本人が海外でものを買い盛った姿とそっくりだと語った日本人は少なくない。同時に、中国経済の行き先に対する不透明感、不安感が増しつつあり、訪日客数や消費額への影響を注目するべきであると言う声が良く聞こえる。確かに、どの国にも経済成長は波のようなものだ。中国国家統計局は2015年通年の成長率は6.9%になり、1990年以来25年ぶりの低い伸びとなったと1月19日に公表した。製造業の設備過剰生産や不動産在庫の増加で、生産や投資が低迷したことで、中国経済の減速は世界経済の先行きを曇らせていることになった。
 このように、私達の日常生活と社会は、経済活動により支えられ、経済の仕組みと動きにより変化し続けている。しかし、どのような政策や経済の仕組みが我々の暮らしを支えているのか。「生活と経済」の授業では、経済学の専門用語・概念を理解するとともに、その知識を活用して、身近な事柄を学び、理解していきます。

政治・経済学
短期大学部 体育学科


2017年1月

「別腹」って本当にあるの?

 お腹いっぱい食べて、もうこれ以上無理!と思っていても目の前に大好きなスイーツが出てきたら「別腹だから」とぺろりと食べてしまった。こんな経験はありませんか。もちろん、実際に好きな食べ物が入る別の腹があるわけではありません。好きなものであれば別腹があるかのように食べられるという例えです。食欲と満腹感をコントロールする作用はホルモンによって調節され、脳が食べる時と食べるのをやめる時を指示することで、私たちの体重は健康的に維持されています。しかし、非常においしそうな食べ物は時々このような脳の働きを無効にします。スイーツのように魅力的な食べ物は、脳の報酬系(欲求が満たされた時や満たされるとわかった時に活性化し、快い感覚をもたらす神経系)に過剰に働きかけ、食べるのをやめるように指示する脳の働きを抑えてしまうのです。そこで、お腹はいっぱいのはずなのにデザートも食べられるというわけです。太るのを気にしながらも甘いものを食べてしまうのは誘惑に弱いからではなく、こんな脳の働きも関係しているのです。

栄養教育論
健康科学部 栄養科学科


2016年12月

スポーツマネジメント ―スポーツの発展に必要な知識-

 スポーツが成立するためには選手の存在が不可欠です。 審判も必要。監督やコーチ、トレーナーやトレーニングコーチの存在もスポーツ経験の質にかかわる重要な役割を担っています。 しかし、ほとんどのスポーツプログラムにおいてこれらの人たちだけではスポーツの成立は難しく、プログラムのマネジメント(企画・管理・運営) を行う人たちの存在が必要になってきます。
 魅力のあるスポーツプログラムを展開していく際に、プログラムの“まとめ役”を担うマネジメント能力を有した人材が不可欠となり、スポーツをマネジメントする人材次第でスポーツの質が大きく異なってきます。 欧米のスポーツ先進国でその学問の重要性は証明されています。 多くのスポーツ関係者が大学でスポーツマネジメントを学んだことを生かし、スポーツの発展へ貢献しています。
 スポーツの価値を最大限生かすための学問であるスポーツマネジメント。 みなさんもスポーツ発展のために必要な知識を有する人材を目指しませんか?

健康・スポーツプロデュース
健康科学部 健康スポーツ科学科


2016年11月

子どもの車酔いと運動との関わり

 車酔いは乗り物の揺れによって、内耳の平衡器官である三半規管が過剰に刺激されて、目から入ってくる景色と自分のいる場所との感覚のズレによって脳が不安定な状態になり発生します。外からの仕切られた空間でおこりやすく、例えばバスの通路側の後部座席などです。実際はバスが移動しているにもかかわらず目から見える空間に変化がないため、脳は静止していると錯覚し、内耳が感じていることと、脳が感じていることにギャップが生じてしまうからです。
 3歳くらいまでは乗り物酔いは少なく、自分の力で動ける年齢になると発生しやすくなります。しかし、振動に身体が慣れさせることで乗り物酔いになりにくくなり、つまり、三半規管が鍛えられることが重要になります。そのためには、子どもの頃からブランコやシーソーなどの揺れる遊具で遊ぶことや、姿勢の変化が多彩なマット遊びや鉄棒遊びをたくさん経験させることをおススメします。

幼児体育
健康科学部 こども健康・教育学科


2016年10月

スポーツ外傷・障害から早期に復帰するためにはどうしたらよいか?

 スポーツ活動を続けていく中で、必ずといっていいほどスポーツ外傷・障害は起こってしまいます。アスリートはケガを体験することにより様々な事、例えば痛めてしまった部位の構造とか機能、また痛みの原因等を学びます。しかし、復帰までのプロセスに関しては、その道筋は理解しているものの、精神的な不安や焦りから完治する前に無理をして復帰してしまうケースが非常に多いように感じます。このようなケースの場合、完治していない組織にストレスがかかるため、予後がすっきりせず、長期間パフォーマンスに影響します。では、スポーツ外傷・障害から良い状態で早期に復帰するためにはどうしたらよいのでしょうか?
 例えば骨折して全治4週間と診断された場合、ロボットのようにその骨をお店で購入し簡単に取り換えることができたら良いなといつも思いますが、もちろん不可能です。人は治癒するまでに、必ず時間が必要になります。治癒能力には個人差がありますが、アスリートの場合大差はありません。アスリートはドクターやトレーナーからのアドバイスで、復帰までのプロセスを実行していきます。早期復帰へ向け大切なことは、ケガの原因が判明したら基本に忠実になるということです。復帰に向けての評価は専門家(ドクター・アスレティックトレーナー)に委ね、アスリートは指示されたリハビリテーションプログラムを忠実に行い、完全な状態で復帰することが大切です。しごく基本的なことですが、その過程の実施状況が、予後のパフォーマンスを左右します。大切なのは自身の身体能力を正しく理解するということです。

アスレティックトレーナー
短期大学部 専攻科


2016年9月

トクホは効くの?

 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品は、科学的根拠をもとに「食後の血糖の上昇を抑制する」などの機能表示が認められた食品です。これまでに、トクホは1,200品以上、機能性表示食品は400品以上が市場に登場しています。果たしてこれらの食品は私たちの健康づくりに役立っているのでしょうか?
 女子大学生約1,200人を対象に、「体に脂肪がつきにくい」の表示が許可されたトクホの利用実態を調査したところ、利用したことがある者は約50%、そのうち効果を体感した者は1%以下でした。効果を体感できなかった理由として、トクホの効果が期待される対象者(生活習慣病になりかけている人)でない者が利用していたことが考えられました。トクホや機能性表示食品の科学的根拠は、対象者、食生活を含めた生活習慣、利用方法(期間や摂取のタイミング)等が厳密に管理された条件で得られたものです。
 トクホや機能性表示食品は、多様な食生活の中で誰がどんな食べ方をしても効果が得られる食品ではないことを認識しておかねばなりません。

栄養学
健康科学部 栄養科学科


2016年8月

パラリンピック豆知識

 2020年オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。パラリンピックは、2020年8月25日~9月6日まで東京都内を中心に実施されます。2020年東京大会は、夏季大会ですが、冬季大会も、冬季オリンピック開催後実施されています。1998年長野冬季オリンピック・パラリンピックが長野市を中心に開催されました。
 パラリンピック(Paralympic)の名前の由来は、「もう一つ(Parallel)+オリンピック(Olympic)」の合成語です。
 第1回夏季パラリンピックは、1960年ローマで開催され、2012年ロンドン大会(第14回)まで開催されました。あまり知られていませんが、1964年東京オリンピック終了後、東京パラリンピックが開催されました。国内では、この大会が、障がい者の方の競技スポーツの始まりと言われています。
 パラリンピックの特長は、使用する用具・ルールを工夫していることです。例えば、車椅子を使用する選手が、テニス・バスケットボール・陸上競技に参加した場合、ルールを工夫します。テニスの場合、2バウンド後の返球が有効である等、ルールを変更していいます。
 障がいの異なる選手が、同じ競技種目に参加する場合は、障がいの種類・程度を分けて(クラス分け)競い合います(陸上競技100mでは、「車椅子の選手」「義足の選手」「視覚障がいの選手(伴走者有)」と分けて実施。同じ種目で、障がいの種類・程度を分けて公平な競技ができるようにしています。

障害者スポーツ論
健康科学部 健康スポーツ科学科


2016年7月

身長は朝と夜に差がある?


 身長は起床時が最も高く、就寝前に最も低くなります。身長の日内変動は1.5cm~3cmあります。身長は、起床してから4~5時間までに短縮が進み、その後、緩やかになります。一日中寝ていれば変動はありません。しかし、無重力な宇宙では、身長が2.5cm 伸長化したとの報告があります。
 身長におけるこの日内変動は脊柱の生理的S字状彎曲が重力によって変動するもので、起床時の緩やかな彎曲から、時間経過とともに彎曲の程度が著しくなります。また、脊柱の椎間板には弾力性があり、多くの水分が含まれています。この椎間板は、直立していれば重力によって圧縮され、水分が減少し扁平な状態となり、脊柱が全体的に短縮されます。高齢者は、子どもに比べて身長の日内変動が少ないといわれています.これは加齢により椎間板の柔軟性が減少したためです。
 なお、日中重い荷物を持てば身長の短縮量は大きくなります。しかし、横になって休むことで、この変動は若干回復します。平均身長は午前中の10時頃です。したがって、身長計測は午前中に測定するのが望ましいと考えます。

体力測定・評価
短期大学部 体育学科


2016年6月

子どもと家庭の福祉について考える ――手がかりは「コアラ」!?

 今回は、子どもの育つ力を信じて子どもとその家庭を支援していく取り組みである「子ども家庭福祉」について下の図を手がかりに考えてみます。みなさんはこの図、何に見えますか?これ、実はコアラなんですって(ミッ○ーマウスにも似ていますね)!

1.コアラの目
 コアラの「左目」にあたる部分には、「子ども家庭福祉サービスが取り組むべき問題(以下、問題)」、「右目」には「問題を解決するための社会資源(以下、社会資源)」があります。「問題」の定義はその時代や立場によって異なりますが、現在では子ども虐待問題がその代表格です。そして、「社会資源」には保育所や児童養護施設などの児童福祉施設、児童相談所などの相談機関、在宅福祉サービスなどが挙げられます。
2.コアラの鼻
 この「問題(左目)」と「社会資源(右目)」とをうまく結び付けることができると、効果的に解決を図ることができます。そこで、これらを結ぶものとしてコアラの「鼻」に位置する「問題と資源をつなぐ援助者および援助技術(以下、援助者・技術)」があります。援助者は、保育士、児童福祉司などの専門職が中心であり、問題を抱える人(子どもや家族)の立場に立ち、ソーシャルワークなどの専門的な援助技術を使って解決を図ります。
3.コアラの耳
 しかし、「両目(問題と社会資源)」とそれをつなぐ「鼻(援助者・技術)」だけが「子ども家庭福祉」を構成しているわけではありません。コアラの「耳」に位置する、援助を何のために行うのか、どういう方向に解決しようとしているのか、という「援助の目標や援助観」も重要です。これは、子ども家庭福祉の理念(考え方)や制度・政策のあり方とも深く関わるものです。

 例えば、子ども虐待問題について援助者は、子どもを虐待から守りその回復と生活等を支援することはもちろん、たとえその親が虐待の加害者であったとしてもその親(家族)も含めた援助を考えていく必要があります。子ども家庭福祉においては、子どもと親(家族)、両方の人権を尊重するという援助観に基づき、目標をもって社会資源を有効に活用し援助することが求められているのです。
 いかがでしたか?「子ども家庭福祉」の基本要素とその関係という難しい事柄が、「コアラ」によって少しだけわかりやすくなりましたね?

参考文献:山縣文治編『よくわかる子ども家庭福祉<第9版>』ミネルヴァ書房、2016年

子ども家庭福祉
健康科学部 こども健康・教育学科


2016年5月

脳の約60%を占める重要な栄養素は脂質!!!

 人間の脳の約60%を占める脂質は、健康を左右する大切な栄養素です。油は太るというイメージをもたれていますが、正しい油の知識をもち、質のいい油を見極めて適正量摂取することは、若々しく健康な生活を送るうえで大切なことです。
 そこで、最近、注目されている「ココナッツオイル」、「エゴマ油」、「アマ二油」の機能性と市場における年代別購入ランキングについてご紹介します。
 「ココナッツオイル」には、炭素数が6~12個の中鎖脂肪酸が60%(ラウリン酸 C12:0は50%)含まれ、腸で消化、吸収される速さは、炭素数14個以上の長鎖脂肪酸の4~5倍、代謝は10倍で、体脂肪の燃焼を活発にし、肥満の原因となる中鎖脂肪酸をつきにくくします。 また、ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸から作られるケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源として使用され、認知症の予防と改善、ダイエット効果、美肌効果が期待されています(1日大さじ1~2杯程度)。
 「エゴマ油」、「アマ二油」には、体内で生成されない必須脂肪酸であるα(アルファ)-リノレン酸がそれぞれ約60%、50%含まれ、体内に入ると脳の栄養素と言われるイコサペンタエン酸(IPA)(エイコサペンタエン酸:EPAともよぶ)、ドコサヘキサエン酸(DHA)に変換され、血液中のLDL-コレステロールを減らし、HDL-コレステロールを増やすとともに血管を若返らせ、血液を良質化します。血液が良質化されると、肌の新陳代謝が促進され、美肌効果も得られます。同時に脳の神経細胞を刺激し、活性化することで認知症予防効果、脳梗塞予防効果、集中力、記憶力の向上等にも繋がります(1日小さじ1杯程度)。
 市場における食用油の年代別購入ランキング(2015)は、20代の人は、1位から3位までがココナッツオイル(メーカー別)、4位、5位がアマ二油、7位がエゴマ油でした。30代と40代の人では、上位1位、2位がココナッツオイル、9位にエゴマ油、その他にはオリーブオイルやキャノーラ油でした。50代以上の人では、1位、2位がココナッツオイル、3位、7位がアマ二油、4位から6位がエゴマ油でした。若い人も50代以上の人も、美容とダイエット効果が期待できるココナッツオイルが上位にランクインしており、次いで認知症予防の観点からアマ二油、エゴマ油の人気が高く、どの年代も健康に対する関心度が高いと思われます。料理に「ちょっとかけるだけ」、飲み物に「まぜるだけ」で利用できるので、健脳食で自分の夢(目標)をかなえてください。

食品学
健康科学部 栄養科学科


2016年4月

お母さんが、おなかの中であかちゃんのこころとからだを育みます。

 お母さんの生活習慣が、あかちゃんの発育に影響することがわかってきました。ヒトの遺伝子は、受精して一つの細胞が出来上がると、同じ遺伝子を持った細胞が増えていき、一生涯変わりません。
 では、どのようにヒトの個性は、つくられるのでしょうか。お母さんがおくる日常生活は、あかちゃんの育つ子宮の中の環境に影響します。例えば、お母さんが妊娠中にダイエットをすると、子宮内の栄養状態が悪くなります。あかちゃんは、お母さんのなかで、「生まれた後の世界は、きっと栄養が足りないんだ」と感じてしまいます。そのために、エネルギーをたくさん使う役割の遺伝子を出なくして、エネルギーを蓄えやすいからだにしようとします。このような遺伝子の調節を専門用語で「エピジェネティクス」といいます。あかちゃんにとって、生まれた後の世界との唯一の接点がお母さんです。お母さんの健康的な生活が、あかちゃんの良好なこころとからだを育むのです。


加齢学
健康科学部 健康スポーツ科学科