Try&Error ~更なる飛躍した自分の姿を求めて~

健康科学部 健康スポーツ科学科
東 直輝さん(ひがし なおき)(400mH)
三重県 桑名高等学校 出身
短期大学部 専攻科 アスレティックトレーナー専攻
鳥居 凌大さん(とりい りょうた)(トレーナー)
愛知県 岡崎城西高等学校 出身


Q:入部したキッカケを教えてください。

(東)
高校から陸上競技を始め、インターハイには出場したものの思い通りの結果が残せず悔しい思いをしました。大学では全国大会で活躍できるような選手になりたいと思い陸上競技部に入部しました。
高校生の時の専門種目は混成競技でしたが、大学からは400mHに転向しました。混成競技の中村明彦さん(ロンドンオリンピック、リオデジャネイロオリンピック出場)が400mHに出場している姿を見たことがきっかけでした。日本人選手が世界で活躍できる種目が少ない中で、世界陸上で銅メダル獲得されたことに憧れました。

(鳥居)
小学生の時から陸上競技をしていましたが、高校3年生の時、大きな怪我が治らず手術をするかどうか迷っていました。
小さいころから怪我に多く悩まされ、鍼灸院に通い、アイシングやマッサージ、ストレッチなどのセルフケアにはとても気を付けていました。高校生になり、練習の増加によって治療に要する時間も増えました。競技者として続けたいか自問自答を繰り返したときに、いつも心身ともに面倒をみてくれたトレーナーに感謝の気持ちで一杯な自分に気づき、私もその道に進みたいと思いました。
アスレティックトレーナーを目指しながら、今度はチームを支える人間としてチームに貢献したいと思い、今に至っています。


Q:クラブ紹介、活動内容を教えてください。

(東)
練習は週5日あり、木曜、日曜が休みです。
部員数は100名を超えていますが、短距離、跳躍、投てきとチームに分かれて適度な人数で練習ができる環境だと思います。
主な大会は東海インカレ(5月)、西日本インカレ(6月)、全日本インカレ(9月)です。オールウェザーのグラウンドで、天候に左右されずに走ることができるタータンがあるのでしっかり練習できます。

(鳥居)
授業は昼過ぎに終わることが多く、夕方から部活動に合流する毎日を過ごしています。至学館の選手はもちろんですが、高校生や他の大学生を見ることもあります。
グラウンドの近くにあるトレーナールームには、マッサージベット、電気治療機器、超音波治療機器等の設備が整っています。大学にはスポーツドクターが常駐しており、選手が怪我をするとすぐに診てもらえ、針治療ができる先生もいるので治療に専念できる環境があることもアスリートにとって心強いです。


(東)
自分との闘いに挑む~練習の意味を考え、自分自身を見つめ直す~
Q:高校の時と比較して、大学での陸上競技はどのような点で違いがありましたか?

高校生の時は大人数で種目に関係なく、同じ練習をしていたので常に競争していた気分でした。
競争するとフォームに力みが出て、崩れることが多かったように思います。たまたま400mHの競技では先輩はいませんでしたが、大学では、それぞれのチームに分かれ、型にはまった練習方法ではなく、個人練習やウエイトトレーニングの時間が増え、自分で練習メニューを組み立てることが多くなりました。
現在は今井コーチ(現走高跳日本記録保持者)と相談し、自己分析できるので効率よく練習ができます。頻繁に動画を撮影してもらい、コーチと二人三脚でフォーム改善に取り組んでいます。

Q:アスリートとして、どのような課題を持って日々のトレーニングをしていますか?

常に昨日より成長しようと思い、練習があるときはしっかりとその練習のポイントをおさえて練習するようにしています。大学生になって成長したことは、自分の走りについて考え、フォームを見直すことが増えました。高校生の時はただがむしゃらに練習に取り組んでいましたが、大学では動画を撮影してもらい、休憩時間に見直して次の走りで改善するようにしています。
大学生になって1人で練習する機会が増え、手を抜けばいくらでも抜けますが、そこで手を抜かずに練習しているので忍耐力が今まで以上についてきたと思います。

Q:アスリートサポートシステムを利用したことはありますか?

体脂肪や体内の部位によっての筋肉量を測定する体成分分析装置(InBody社)を使用し、栄養サポートをしてもらった経験があります。
特に栄養サポートでは、普段の食生活(朝、昼、晩)を記録して分析してもらいました。一人暮らしなので、野菜摂取不足を指摘され、特に体脂肪に関しては、高すぎても低すぎてもダメでバランスの良いコンディショニングつくりに励んでもらいたいとアドバイスされました。
より高いレベルを目指すアスリートにとって、ベストパフォーマンスを引き出すためには、的確なトレーニングや食事が必要なのでとても役立っています。


(鳥居)
アスリートからの“ありがとう”を支えに、信頼されるトレーナーを目指して
Q:トレーナーのやりがいは?

自分携わった選手が大会や試合で活躍する姿を見ると自分もうれしい気持ちになります。好記録や自己ベスト更新の報告をしてくれる時や、裏方で活動しているトレーナーに「ありがとう」の一言を言ってもらえるだけでトレーナーをやっていて良かったなと思います。外傷障害の評価を正確に判断できた時や、怪我で競技から離れていた選手が、リハビリ経て無事に競技に復帰した姿を見る時もとても嬉しいです。記録の良し悪しに関係なく、大会を通じて大きな怪我が無く、選手が無事に大会を終えた時はほっと安心します。

Q:アスリートやコーチ、スポーツドクターから信頼されるために、心掛けていることはありますか?

アスリートとは一定の距離感を保ちながらあくまでもアスリートとトレーナーという関係を崩さないように1枚壁を作っています。お互い学生ということもあるので仲良くなることは大切ですが、アスリートとの距離が近くなりすぎるとトレーナーとしての言葉の重みや伝わり方が変わってくると思うので部活動の時間に限っては一定の距離感を保つようにしています。もちろん普段の生活では、会話をすることや遊ぶこともあります。
コーチやスポーツドクターからは選手のコンディションを尋ねられることが多いので 、選手ごとにノートに記録して選手のコンディションを把握するようにしています。また、選手に状態を伝える際は、理解をしやすくするために専門用語を多く使わず、言葉をかみ砕きわかり易い表現を入れたりするように心掛けています。
トレーナーとして知識不足で分からない事もあります。しかし、分からないままにしておくのではなく教科書を見て調べたり先生に聞いたりして、同じ事を繰り返さないようにしています。選手は不安を抱えながら相談をしてきてくれると思うので、声をかけてくれた選手の要望に答えて力になれるように日々勉強に励んでします。

Q:大学生のアスリートに向けてのアドバイスは?

運動と栄養と休養のバランスが大切だと思います。
運動・休養は、頻度や強度のバランスを調整出来るようになると良いと思います。オーバートレーニングの時は、トレーニングの休止や低強度のトレーニング限定など制限が発生する事もあり得るので、休養も練習の1つとしてしっかり休んで欲しいです。しっかり休む事と長期間休む事では違いがあり、オンとオフの切り替えをして欲しいです。疲労回復には個人差がありますが、運動と休養を上手に切り替える事ができると良いと思います。
栄養では、当然バランスの良い食事が必要です。プロの世界になると管理栄養士がついてサポートして管理してもらえますが、大学生は友達との付き合いで外食が増え、バランスが偏ることが多々あります。また、下宿になると生活習慣の影響から、栄養バランスを考えた食事が取れないことがあります。そのような環境ではサプリメントの摂取が補助的な役割をすると思います。バランスの良い食事で栄養を摂取してほしいですが、サプリメントも効果的に使って上手く活用して欲しいです。


Q:将来の夢や目標は何ですか?

(東)
将来の夢は高校の体育教師になることです。陸上競技部に所属しているのは競技力向上のためでもありますが、様々な練習方法を試し、指導する立場にたった時に役立てたいと考えています。同じ競技に先輩がいないため、コーチはもちろん、他の種目の選手に意見交換をし、とにかくできるだけたくさんの情報を集め自分の引き出しを増やすように心掛けています。また、教師になる夢をかなえるため、実際に教育実習に行った先輩や顧問の先生に話を聞いたりしています。
アスリートの方でも、体育の授業が苦手な方でも、その人に合った1対1の対応の指導ができるような先生になりたいなと思います。

(鳥居)
卒業後は、実業団(陸上競技)の選手のパーソナルトレーナーとして活動させていただく予定です。その選手が全国で活躍できるようサポートするため、部活を引退した後もトレーナーとしてトレーナールームで活動を続けています。
今後、携わってみたい競技は野球です。陸上はおもに下肢メインの動きなのですが、野球は上肢の動きも入ってくるので、視野の拡大という観点において携わってみたいです。
選手のためにもこれからも勉強に励み日々成長していきたいです。


Q:受験生にメッセージをお願いします。

(東)
目先ではなく、将来の目標を見据えて、大学受験に臨んでもらいたいなと思います。
まだ具体的になりたい職業などを考えていない人は、大学に入りたいと思って、どのような大学生活を送りたいかを考えれば、自然と勉強がはかどると思います。

(鳥居)
アスレティックトレーナーの先生から直接講義を受けることができるので、トレーナーになりたいという人には最適な場所だと思います。高校と違ってたくさん自由な時間があるので、専門的な分野を勉強することもでき、授業で習ったことを現場ですぐに使える環境があります。
始めはたくさんの壁にあたると思いますが、わからないことがあればすぐに先生に質問をすることができ、同級生と一緒に高めあっていく環境があるので大丈夫です。


今井 美希 コーチ(いまい みき)
至学館大学短期大学部 体育学科 助教
Q:普段の取り組み方はどうですか?

とても練習熱心で探究心のある選手です。
400mHの練習は皆さんが思っている以上に非常に大変で辛い練習が多いです。 しかし、東くんは自分の目標に向け、どんな練習も黙々とやることができる選手です。 技術練習の前日に自分なりに色々な動画を見て研究し、自ら課題を持って練習に取り組んでいます。


Q:入部した時と比べ、どのように成長していますか?

トレーニングに対して受け身だったのが、能動的に取り組むようになったことに一番成長を感じます。
例えば、トレーニングに関して疑問や提案があれば、積極的に質問や提案をするようになり、トレーニング計画やトレーニングメニューを立てるのも進んで行うようになりました。 高校生と大学生との大きな違いだと思うので彼の成長をすごく感じます。このような姿を見て後輩たちも大きく成長するので、頼もしい先輩に成長してくれました。


Q:今後、東さんに求めるものは何ですか?

陸上競技は最終的に自分との闘いです。自分の限界を越えられるようチャレンジして欲しいです。
限界を越えられた者だけが見ることのできる景色があるので、その景色を見ることができるよう期待します。 そして、その景色を見た者にしかできない指導があると思うので、それを将来に活かせることを願います。



Q:最近はまっていることは何ですか?

(東)
ルービックキューブです。たいていのものは1分で元に戻すことは可能で、集中力を高めています。

(鳥居)
趣味の釣りです。大学の友達もそうですが、他大学の友達もいて、情報交換の場として最適です。