
研究の合間に究極の「健康」とは?と想像することがあります。それは多くの人の夢でもありますが、古来日本は「不老長寿」の国と思われていた時代があったようで、秦の始皇帝は日本に不老不死の仙薬を求めて徐福という名の遣いを派遣した記録が、中国だけでなく日本各地に残っています。確かに日本には、不老長寿にまつわる伝承が色濃くみられる地域があります。その名も「わかさ(若狭)」の国(今の福井県嶺南地方)には、人魚の肉を食べて不老長寿になった尼、八百比丘尼(やおびくに or はっぴゃくびくに)の伝説があります。また毎年奈良東大寺の二月堂で行われる「お水取り」の行事では、境内の若狭井(わかさい)とよばれる井戸から汲み置かれた水に「万病平癒」のご利益があるとされていますが、伝承ではその水は若狭地方の小浜市「遠敷川(おにゅうがわ)」が水源とされています。そもそも「にゅう(丹生)」とは、その時代若返りの妙薬とされた水銀の原料鉱物を指した言葉です。なぜ若狭が不老長寿と結びつけられたのかは分かりませんが、この地方は平安時代まで朝廷に食料を貢いだ「御食国(みけつくに)」の一つでもあり、古くから食とアンチエイジングの関心が交差する地域であったようです。現在、至学館大学のある大府市を含め、全国に「健康」を掲げる自治体がたくさんあります。「健康」は一人一人の体の問題のはずですが、「聖地」化による啓発効果は今も昔も大きいようです。
分子生物学
健康科学部 栄養科学科
