
ご飯はよく噛むと甘くなるからキチンと噛んで食べましょう、という話を聞いてきませんでしたか?実際にお米は甘いのでしょうか。
精白米の成分の約75%はデンプンです。デンプンは、ブドウ糖が数千~数万個の真珠のネックレスようにつながったものです。ヒトが甘みを感じるにはブドウ糖という真珠を味覚細胞が検知する必要がありますが、ネックレス状態だと検知されません。ご飯をよく噛むと甘く感じるのは、唾液に含まれるアミラーゼという酵素がデンプンを分解することで一部がブドウ糖となるからです。ちなみに、ブドウ糖は砂糖や果物に含まれる果糖ほど甘くないので、ほんのり甘いと感じるのは正しい感覚です。
話は変わって、昨年のノーベル生理学・医学賞は「古代DNAの解析」を研究したドイツのスバンテ・ペーボ博士が受賞しました。ペーボ博士はDNAを比較することで旧人類と現生人類が交配していることを明らかにし、人類史研究に革新をもたらしました。同様の手法で、人類移動の軌跡、地域によるヒト遺伝子の違いもたくさんわかってきました。例えば、アミラーゼ遺伝子の数の違いを比較した研究があります。アミラーゼ遺伝子はヒトDNAの中に複数個ある変わった遺伝子の1つです。多い人だと10個ほど、少ない人だと2個程度の遺伝子を持っているそうです。アミラーゼ遺伝子が多ければデンプンからブドウ糖をたくさん作ることができるため、より甘く感じることができるというわけです。日本人は世界的に見てもアミラーゼ遺伝子の数が多いそうです。実際に日本人は9割以上がデンプンを噛むと甘く感じるが、外国人は2割程度のようです。
管理栄養士は食事をうまく飲み込めない方に向けて、片栗粉(デンプン)などを使って「とろみ」を付けた献立もつくります。ヒトによって「とろみ」を分解してサラサラにする速さも変わってくるわけですから、様々な工夫が必要になってきますね。
生化学・分析化学
健康科学部 栄養科学科
教授 保住 建太郎
