
先日、私が担当している器械運動の授業でこんなことがありました。鉄棒の授業のときに「どうしたら逆上がりができるようになる?」と受講生に聞いたところ、“腹筋を鍛える!”とか“腕の力が必要”と言います。それではまずやってみようということで逆上がりをやったのですが、その中に逆上がりが全くできない学生がいました。受講生の中には「おまえは筋力が足りないんだよ」とか「気合が足りないんだ」などと言っています。そんな中その学生は私のアドバイスの通り20分くらい練習したのですが、ある時突然ヒョイッと上がってしまったのです。その時は体育館中、拍手喝采でした。
さて、ここで不思議な問題が浮かび上がります。その学生は20分で腹筋が強くなったのでしょうか?また、腕の筋量が数分で増加したのでしょうか。おそらく違いますね。その学生はおなかや腕の「動かし方」を学んだだけなのです。つまり〈コツ〉をつかんだのです。それがスポーツ運動学で学習する人間の運動感覚の話なのです。みなさんもスポーツをするとき〈コツ〉に出会うことがありますよね。シュートのコツ、ドリブルのコツ、スタートのコツ…。
でも、運動のコツなんて言うものは一般的には、「そんなもの客観的ではない」とか「その人だけのものでしょ。」といっていつも無視されてしまうものです。しかし、選手や運動する人にとってそれはとても大事なものですね。運動の上達が速い人というのは、コツをつかむのが速い人と言えるかもしれません。また、優秀なコーチや教師はコツのつかみ方をちゃんと教えてくれると人だと思います。おそらく、「あなたの動きはこうなっている」と言うだけでなく「こういう感覚でやるとうまくいくよ」と。
そこでは “kinästhese” -キネステーゼ- という極めて重要な能力がかかわっており、これを解明し理解することがスポーツの世界では重要になるのです。
本学では、このような不思議な世界について学習し理解を深めることができます。
スポーツ運動学
短期大学部 体育学科
