
SPF豚は無菌じゃない
豚肉は、トンカツ、しょうが焼き、ローストポーク、煮豚など様々な料理に使われ、タンパク質に加えビタミンB群を豊富に含んでいる、身近で良質な食材です。街のトンカツ屋や豚しゃぶ屋などのメニューに「SPF(1) 豚を使用」といった記載を見かけることがありますが、みなさんは「SPF豚」って知っていますか?
SPF豚は「イベリコ豚」というような豚の品種 (血統) ではありません。SPF豚は「病原体をもたない健康な豚」と説明されていることが多いように思います。「病原体 (病気を引き起こす細菌、ウイルス、寄生虫など) を持たない」とか「健康」という言葉から、SPF豚は、病気を起こす菌を全く持っていない「無菌の豚」と誤解されやすく、SPF豚ならレア (生) や加熱不十分な状態で食べても問題ない」と勘違いされることがあります。「病原体を持たない」を正しく説明すると、「豚の成長に悪影響を及ぼす5つの豚の慢性疾患を引き起こす病原体を持たない」となります。つまり、SPF豚が持っていないのは豚に病気を起こす病原体のうち5つだけで、ヒトに食中毒や肝炎などの病気を起こす病原体は、通常の豚同様にSPF豚にも存在している可能性が十分にあります。SPF豚は決して「無菌」ではありませんので、レア (生) での喫食は非常に危険です。
豚の肉や内臓には、細菌、ウイルス、寄生虫などヒトに病気をおこす様々な病原体が存在している可能性 (危険性) が常にあります。そして非常に重要な事は、この危険性は鮮度の良し悪しとは関係なく、とても新鮮な場合でも病気を引き起こすリスクが存在していることです。幸い、これら病原体は熱に弱く、しっかり加熱調理 (2) すれば、肉や臓器を安全に食べることが可能です。ただし、トンカツなどの加熱調理をしている場合でも、中心部が生肉のような鮮明な赤色の場合は加熱不十分の可能性があり、生食と同様のリスクがあります。2015年に法律(食品衛生法)が改正され、豚肉および豚レバーやモツなどの内臓は、生食としての販売や提供が禁止されました。
SPF豚は、重篤な慢性疾患にかからないため、安定して成長が早く、臭みの少ない柔らかい肉になるなど利点が多く報告されています。美味しいSPFの豚肉を安全に食べるためには、たとえそれが新鮮なものであっても、しっかり加熱してあることを確認しましょう。
注釈
(1) SPF:「Specific(特定の) Pathogen(病原体) Free(無い)」の略
(2) 肉中心部で63度以上30分 あるいは 75度以上1分の加熱が必要。肉の色などの外見からは加熱状態を満たしているかの判断が難しいので注意
食品衛生学
健康科学部 栄養科学科
教授 廣井 豊子
豚肉は、トンカツ、しょうが焼き、ローストポーク、煮豚など様々な料理に使われ、タンパク質に加えビタミンB群を豊富に含んでいる、身近で良質な食材です。街のトンカツ屋や豚しゃぶ屋などのメニューに「SPF(1) 豚を使用」といった記載を見かけることがありますが、みなさんは「SPF豚」って知っていますか?
SPF豚は「イベリコ豚」というような豚の品種 (血統) ではありません。SPF豚は「病原体をもたない健康な豚」と説明されていることが多いように思います。「病原体 (病気を引き起こす細菌、ウイルス、寄生虫など) を持たない」とか「健康」という言葉から、SPF豚は、病気を起こす菌を全く持っていない「無菌の豚」と誤解されやすく、SPF豚ならレア (生) や加熱不十分な状態で食べても問題ない」と勘違いされることがあります。「病原体を持たない」を正しく説明すると、「豚の成長に悪影響を及ぼす5つの豚の慢性疾患を引き起こす病原体を持たない」となります。つまり、SPF豚が持っていないのは豚に病気を起こす病原体のうち5つだけで、ヒトに食中毒や肝炎などの病気を起こす病原体は、通常の豚同様にSPF豚にも存在している可能性が十分にあります。SPF豚は決して「無菌」ではありませんので、レア (生) での喫食は非常に危険です。
豚の肉や内臓には、細菌、ウイルス、寄生虫などヒトに病気をおこす様々な病原体が存在している可能性 (危険性) が常にあります。そして非常に重要な事は、この危険性は鮮度の良し悪しとは関係なく、とても新鮮な場合でも病気を引き起こすリスクが存在していることです。幸い、これら病原体は熱に弱く、しっかり加熱調理 (2) すれば、肉や臓器を安全に食べることが可能です。ただし、トンカツなどの加熱調理をしている場合でも、中心部が生肉のような鮮明な赤色の場合は加熱不十分の可能性があり、生食と同様のリスクがあります。2015年に法律(食品衛生法)が改正され、豚肉および豚レバーやモツなどの内臓は、生食としての販売や提供が禁止されました。
SPF豚は、重篤な慢性疾患にかからないため、安定して成長が早く、臭みの少ない柔らかい肉になるなど利点が多く報告されています。美味しいSPFの豚肉を安全に食べるためには、たとえそれが新鮮なものであっても、しっかり加熱してあることを確認しましょう。
注釈
(1) SPF:「Specific(特定の) Pathogen(病原体) Free(無い)」の略
(2) 肉中心部で63度以上30分 あるいは 75度以上1分の加熱が必要。肉の色などの外見からは加熱状態を満たしているかの判断が難しいので注意
食品衛生学健康科学部 栄養科学科
教授 廣井 豊子
