至学館の豆知識
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2023年6月
バスケットボールのゴールについているバックボードは何のため?
まずはバスケットボールの誕生について説明します。
バスケットボールは、カナダ出身でアメリカの国際YMCAの体育教師であったジェームズ・ネイスミス氏が1891年(明治24年)に考えたスポーツです。
ネイスミス氏は、降雪のため運動場が使えない冬に室内でできるスポーツを考えて欲しいと依頼されて考案したのです。当時のバスケットボールは、1チーム9人でした。ボールはサッカーボールを使っていました。
ゴールは、今の学校の体育館にあるようなものではありませんでした。たまたま体育館にあった桃を収穫するかごを体育館のバルコニーにつけただけです。かごですから穴は開いていません。ゴールするたびに、はしごを使って登ってボールを取っていました。これでは、いちいち大変ということで、かごに穴を開け落ちてくるようにして、最終的に今のような形になっています。このときのかごの高さが3.05m(10フィート)で今も同じです。
さて本題のバックボードですが、バックボードには黒い四角の枠があり、あの上の角をねらうと入りやすいと教えてもらった人もいると思います。つまり、バックボードを上手く使ってシュートするためとか、ボールが後ろに飛んでいかないためと考えている人もいると思いますが、違います。バックボードはネイスミスがバスケットボールを考案した当初ありませんでした。その後、バスケットボールが人気になり大勢の観客を入れて試合が行われるようになりました。すると、2階のバルコニーから応援していた観客が自分の応援するチームを勝たせるため、相手チームのシュートを手摺りから足や手を出して妨害するようになりました。そうです、シュートの邪魔をされないように取り付けられたのです。当初は、金網でしたが、その後白く塗った木の板に、今は後ろからでも見えるように透明のポリ・カーボネート製などになっています。
スポーツの歴史を調べてみると、意外なことが分かっておもしろいです。機会があったらいろいろ調べてみてください。スポーツの歴史を調べてみると、意外なことが分かっておもしろいです。機会があったらいろいろ調べてみてください。
健康科学部 こども健康・教育学科
教授 加藤 雅之
2023年5月
ご飯は本当に甘い?
ご飯はよく噛むと甘くなるからキチンと噛んで食べましょう、という話を聞いてきませんでしたか?実際にお米は甘いのでしょうか。
精白米の成分の約75%はデンプンです。デンプンは、ブドウ糖が数千~数万個の真珠のネックレスようにつながったものです。ヒトが甘みを感じるにはブドウ糖という真珠を味覚細胞が検知する必要がありますが、ネックレス状態だと検知されません。ご飯をよく噛むと甘く感じるのは、唾液に含まれるアミラーゼという酵素がデンプンを分解することで一部がブドウ糖となるからです。ちなみに、ブドウ糖は砂糖や果物に含まれる果糖ほど甘くないので、ほんのり甘いと感じるのは正しい感覚です。
話は変わって、昨年のノーベル生理学・医学賞は「古代DNAの解析」を研究したドイツのスバンテ・ペーボ博士が受賞しました。ペーボ博士はDNAを比較することで旧人類と現生人類が交配していることを明らかにし、人類史研究に革新をもたらしました。同様の手法で、人類移動の軌跡、地域によるヒト遺伝子の違いもたくさんわかってきました。例えば、アミラーゼ遺伝子の数の違いを比較した研究があります。アミラーゼ遺伝子はヒトDNAの中に複数個ある変わった遺伝子の1つです。多い人だと10個ほど、少ない人だと2個程度の遺伝子を持っているそうです。アミラーゼ遺伝子が多ければデンプンからブドウ糖をたくさん作ることができるため、より甘く感じることができるというわけです。日本人は世界的に見てもアミラーゼ遺伝子の数が多いそうです。実際に日本人は9割以上がデンプンを噛むと甘く感じるが、外国人は2割程度のようです。
管理栄養士は食事をうまく飲み込めない方に向けて、片栗粉(デンプン)などを使って「とろみ」を付けた献立もつくります。ヒトによって「とろみ」を分解してサラサラにする速さも変わってくるわけですから、様々な工夫が必要になってきますね。
健康科学部 栄養科学科
教授 保住 建太郎
2023年4月
「ゲーム理論」・・・聞いたことありますか?
皆さん「ゲーム理論」という言葉を聞いたことがありますか。ゲームだから碁や将棋、トランプ、スポーツ、スマホのゲームに関する理論かなと思われるかもしれません。このゲーム理論は経済学を中心に国際関係、政治、産業、貿易、また生物学や人類学など広い分野で使われている理論です。
学校でもスポーツのチームでも一般の企業においても、組織やチームを発展させるためには、戦略をたてないといけません。自分の人生においても、どの大学を選ぶとか将来どのような分野の仕事に就くとか、皆さん考えますよね。そんな時に使えるのがゲーム理論です。要するにゲームには、プレーをするフィールドがあり、そこにはプレーヤーがいて、勝ち負け(利得)があって、勝敗を判定するかつゲームを進める上での規則・ルールがあります。そして、勝つためには戦略をたてます。この戦略の立て方でどのような勝敗(利得)が得られるかを考える行動(研究)がゲーム理論にあたります。
例えば、将来プロのサッカー選手やプロ野球の選手を目指す中学生がいるとします。どの高校に進学するか考えた場合、プロチームのスカウトの目にとまるように選手権大会出場の常連校に進学する戦略が考えられます。もしくは、高校でスカウトの目に留まらない場合を考えてスポーツの強い進学校に進んで大学に進学し、大学選手権大会でスカウトの目にとまるような代替案を考えた戦略もあるでしょう。また、戦略を決定するうえで、良いコーチのいる高校、自分の実力を磨くために競争相手となる優秀な選手が多い高校を選ぶ、といった進路の選択もゲーム理論の一部と言えるでしょう。
4年間という長い学びの場で、将来の幸福で豊かな自分の人生づくりにつなげていく場が、大学です。その大学選びが人生設計の戦略といえます。大学が発信する情報を収集して、どの大学を選ぶかが戦略で、その結果大学での学びからどのような利得(能力)が得られるかを考えるのがゲーム理論です。あなたもゲーム理論にトライしてみませんか。
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 竹下 俊一