至学館の豆知識

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2021年7月

スポーツ運動を「見る」ことはできますか?

 スポーツ運動を見ることができるかという問いがあったときに、多くの方は「はい」と答えると思います。運動中の動きを見るという営みは、一般に「運動観察(Obsavation of human movement)」と呼ばれます。スポーツ運動学において「運動観察」は、単に「見る」ということの範囲を超えて「見抜く」というレベルまで含むことになります。つまり、何をやったのかを把握するだけでなく、どのようにやったのかを把握するということです。
 例えば、バレーボールのスパイクの動きを行った選手がいるとします。その時のコーチはスパイクの動作のどの部分を見ているのでしょうか。仮に、ボールが相手コートに落ちて得点が決まったという結果のみを見ていたとしたら、そのコーチは失格かもしれません。選手がどの位置から助走をしてどの脚で踏み込み、跳び上がる方向や空中姿勢、肘の使い方、目線の位置まで<見抜けて>いるでしょうか。この選手が、例えば“肘の使い方を修正しよう”と意識してスパイクして、改善が見られた場合、コーチはその肘の使い方を厳密に観察して「今のは良かった!」というフィードバックをしなくてはいけないのです。
 U.NEISER(1976)は、視覚にとって最も重要な認知構造は〈予期図式〉(anticipatory schema)と呼ばれるものであると述べています。それは、他の情報と比べて、ある特定の情報を選択的に受入れ、それによって見る活動をコントロールということです。つまり、今からスパイクをする選手がいたら、コーチは動作が開始する前に“肘の動かし方に注目して見ておこう”と予め見方を規定しておくのです。もちろん肘だけを見ているわけではありませんね。その他の関係する身体部位も見ているわけです。逆にこのような予期図式の形成が未熟で観察の内容をコントロールできない人は、運動を見ることができないのです。
 スポーツの指導現場では、運動を詳細に見抜いて細かい部分まで指導されている指導者を目にすることがあります。このような運動観察の能力は、実技経験を含めた運動指導経験が大きなカギを握ることになります。皆さんも一緒に指導者の運動観察能力について考えてみましょう。

スポーツコーチング・スポーツ運動学
短期大学部 体育学科
准教授 村山 大輔


2021年6月

親バカのススメ!? ~赤ちゃんの言葉を育てるために~

 赤ちゃんは、生後2~3ヶ月頃から「アーアー」「ウークン」などと声を発するようになります。この「アーアー」や「ウークン」は、「喃語(なんご)」と呼ばれ、言葉としての意味を持ちません。赤ちゃんは、意味のないおしゃべりを楽しみながら、舌や唇などの調音器官を発達させ、いろいろな声を出せるようになります。赤ちゃんが1歳前後で意味のある言葉を発するようになるのは、喃語によって調音器官が鍛えられたおかげでもあります。
 さて、赤ちゃんが意味のない喃語から意味のある言葉を話し出す過程で、親バカが役に立っているのをご存知でしょうか?
 例えば、赤ちゃんが「ウークンンマンマンバババー」と喃語を発したとします。すると、その時、近くにいたお母さんには、「ウークン『ンマンマ』ンバババー」と聞こえます。そして、お母さんは、「『ンマンマ』って言った? きっと『ママ』って呼んだのね!」と大喜びして、「は~い。ママですよ~」と答えるわけです。
 赤ちゃんが「ママ」に近い声を出すたびに、親バカ全開のお母さんは、嬉しそうに反応するということを繰り返します。「ンマンマ」「は~い」「ンマンマ」「は~い」という具合に。やがて、赤ちゃんのほうも、「ンマンマ」と言えば反応してくれる人がいることを理解するようになります。お母さんの返事は、赤ちゃんの意味のない音声(喃語)の連続に語としてのまとまりを作り、そのまとまりに「ママ」という意味を持たせてしまったのです。
 周りの大人は、かわいい赤ちゃんが何か話していると思い、勝手に意味ある言葉を聞き出そうとします。そのような極めて主観的で願望的な思考と態度が、赤ちゃんの言葉を育てるうえで、とても重要な役割を担っているというわけです。赤ちゃんの周りの大人たちには、ぜひ、親バカぶりを競い合ってほしいと思います。

国語科教育・国語学
健康科学部 こども健康・教育学科
准教授 加古 有子


2021年5月

うどん作りにチャレンジしてみよう!

 コロナ禍において、自宅で食事を摂る機会も多いと思います。手軽なラーメン、パンなどを食べる機会もあると思いますが、これらは、小麦粉を調理加工したものになります。ここにあげたもの以外にも、小麦を使ったものはたくさんあり、日常的に食べられています。
 小麦粉は、でんぷんが多く含まれており、主食の食材としても用いられています。小麦は、外皮がたいため、粉にして主に用います。小麦粉に含まれるタンパク質の量により、強力粉、中力粉、薄力粉に分類することができます。
 そこで、少しいつもより家に居る時間も多い今日この頃、乾麺を茹でて麺を食べるのではなく、粉から麺作りにチャレンジし、生活を楽しんでみませんか?
 うどんは、中力粉を用いて作りますが、比較的簡単に作ることができます。作り方は簡単です。ボールに中力粉400gを入れ、食塩水(食塩20g、水300mL~)を入れ よくこねます。生地が耳たぶぐらいの柔らかさになるように水を加減します。30分程寝かしたのち、生地を四角形に伸ばし、折り曲げ、うち粉をして端から包丁で切ってうどんを作ります。
 うどんを茹でたら、好みのつゆや具材で楽しんでみてはいかがでしょうか。

 ※打ち粉:生地どうしが付着するのを防ぐために用いる粉
 ※中力粉:強力粉と薄力粉1:1でも可能

調理学
健康科学部 栄養科学科
准教授 伊藤 正江


2021年4月

トレーニングと勉強の共通点

 スポーツ選手の中には、「トレーニングをコツコツ積み重ねるのは好きだけど、勉強はちょっと…」という人が少なくないのではないでしょうか?実は、トレーニングも勉強も成功する秘訣は同じだという事が理解できれば、効果的な勉強法が身につくかもしれません。
 すべてのトレーニングが、最初は「出来ない」から始まっているはずです。そこで、フィジカルトレーニングであれば「短時間なら同じ強度が出来る」とか、スキルトレーニングだったら「腕の動作だけなら出来る」というように部分的に習得していくことから始め、それを繰り返しているうちに持続できる時間や強度、技術の難易度を上げることが出来るようになるのです。
 勉強も同様で、覚えやすいこと、興味を持てることから少しずつ初めて、その量や難易度を上げて行くと楽しく学習することが出来るでしょう。
 このコツコツやることで楽しく上達できる秘訣は「脳」の働きが大きく関係してきます。脳は少し難しいハードルを越えた時に、「もっと高いハードルを越えたい」と思う習性があります。この修正を生かして、勉強とスポーツの両方で沢山のハードルを越え続けて下さい。

運動生理学
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 髙橋 淳一郎