至学館の豆知識

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2023年2月

写真のよみかた

 さきごろ高校生のレポートを読む機会がありました。話題は小学校の防災マップづくりを取材した新聞の地方欄記事で、切り抜きも丁寧に添えられています。自分の身を守るために、子どもも大人も生活空間に潜む危険性について知識を蓄えておくことが大切だと、丁寧に綴られたレポートでした。
 切り抜き記事は活字と写真から構成されており、写真のキャプションには「話し合う児童たち」という説明の言葉があります。写真の「児童たち」は皆一様にマスクを着用しており、表情をよみとることはできませんが、身を乗り出して資料に向き合う姿勢から熱心に「話し合う」最中であることが分かります。注意深く耳を傾ければ、写真から「話し合う」声も聞こえてきます。レポートには、マスク着用で短距離走に臨む児童の姿をとらえた写真入り記事への見解もあり、被写体に対するカメラマンの眼差しへの共感が伝わってきました。
 高校生の取り上げた記事には、時代を記録する説明的要素とこどもの「今」を語る物語的要素があり、魅力的な素材に思えました。写真や映像を素材にした言語活動は既に小・中学校の国語教室で取り組まれています。今を生きるこどもたちのコミュニケーション状況を踏まえると、国語教育における画像・映像の教材性はもっと検討されても良いのではないでしょうか。

国語科教育学
健康科学部 こども健康・教育学科
准教授 松岡 礼子


2023年1月

牛乳?加工料?乳飲料?

 スーパーに行くとたくさんの種類の牛乳が売られていますね。皆さんは、お気に入りのメーカーや商品がありますか?
 スーパーに並んでいる商品をよく見ますと、同じようにみえる商品でも「種類別名称」が異なることに気づきます。例えば、乳脂肪分が多めの濃厚な味の商品も、牛乳 , 成分調整牛乳, 加工乳, 乳飲料の4種類があります。これらは何が違うのかご存じですか?これらの名称は、製造方法や成分に応じて法律等で厳密にきめられています。
 牛乳, バター, クリームなどの様々な乳製品の主原材料は、乳牛から搾ったままの乳 (生乳) です。生乳を殺菌して飲用としたものが「 (成分無調整の) 牛乳」です。成分無調整の場合、季節によって成分に変動があり、夏は乳脂肪分がやや低くなります。牛乳のうち、水や乳脂肪分など一部の成分を減らしたものが成分調整牛乳になり、乳脂肪分を法律で規定された%まで減らしたものが低脂肪牛乳や無脂肪牛乳として販売されています。大切なことは「牛乳」という表記は、原材料が生乳100%の時しか使えないいということです。一方「加工乳」と書かれているものは、生乳あるいは牛乳を主原料に他の乳製品 (脱脂粉乳, クリーム, バターなど)を混ぜて製造されています。混ぜて製造するため、成分は季節に関係なく安定していますし、価格も牛乳より低い傾向にあります。加工乳の原材料は、全て生乳由来のものですが「生乳100%」ではありませんので、商品名にも「牛乳」という言葉は使えません。そして、原材料に乳製品以外のものが含まれている場合は「乳飲料」となります。牛乳等にコーヒー成分, 果実成分やカルシウム, ビタミンなどを添加した商品がこの区分に入ります。乳飲料の商品名にも「牛乳」という言葉は使えません。
 さて、皆さんが飲んでいるものは、牛乳、加工乳、乳飲料どれでしたか?それぞれに長点と欠点があります。消費者の多様なニーズに合わせて多種多様な商品が製造されていますので、皆さんは、違いを知りながら、自分が「好き」と思うものを選んで、これからも美味しく飲んでいただければと思います。

食品衛生学
健康科学部 栄養科学科
教授 廣井 豊子


2022年12月

足首の捻挫はなぜ繰り返すのか?

 スポーツをしている人であれば、誰でも程度の差こそあれ、「足首の捻挫」をされていると思います。
 また、捻挫を繰り返すこと(捻挫の再発)もきっと多くの方が経験していることでしょう。なぜ捻挫を繰り返すのでしょうか?もちろん、バレーボールやバスケットボール、フィギュアスケートのようにジャンプして着地する動作が多いスポーツを行っている選手では再発が多くなることは理解できます。至学館大学の調査でもバスケットボール選手では、平均8回以上の捻挫を経験していました。
 しかし、それ以外にも様々な理由があります。その一つに、子供の頃の「捻挫の見逃し」があげられます。足首の捻挫では、足関節の“距骨”と“腓骨”(外側のくるぶしの骨)の間に、連続している「前距腓靭帯」という靭帯が損傷することが多いのですが、最近の研究では、小学生時代の捻挫の70%に靭帯付着部の骨折(裂離骨折)を伴っていると報告されているのです。
 足首が骨折している場合は、通常、松葉杖やギプス固定が必要ですが、ふつうの捻挫ではよほど重症でない限り、病院に受診する方はきわめて少ないため、そのような治療は行われません。結果的に骨折が見逃されて、成人になっても骨片がくっつかないままで残ってしまい、足首が緩んで不安定な状態になるため、再発しやすいことがあるのです。ですから、小学生時代の捻挫は、骨折していないかどうか、きちんと診断を受けることが大切です。
 最近ではエコーを用いて小さな裂離骨折を見つけることができるようになりました。皆さんの周りの小学生が捻挫をした場合には、簡単に考えずに骨折があるかどうか、ぜひ調べてもらうように勧めてください。

スポーツ医学・整形外科
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 後藤 英之


2022年11月

選手の気持ちを支えてくれた部活動指導者の言葉

 本学科に入学してくる学生のほとんどは、保健体育の教師を目指している。保健体育の教師をなぜ目指すのかと尋ねたところ、ほとんどの学生は、中学や高校の部活動指導者の指導に感銘を受けたと口にする。苦しかったり悔しかったりするなど心が折れそうなった時に、部活動指導者から言葉をかけてもらい、気持を支えることが出来たというのである。
 たとえばレギュラーになれなかった学生はこんなことを語ってくれた。
 高校3年時にピッチャーから野手に転向し、朝練や夜練でひたすらバッティング練習をした。しかし緊張すると思うようなバッティングができず、結局メンバーに選ばれることはなかった。その時気持を支えてくれたのはコーチ役の教師の言葉だった。「お前を試合に出してやりたい。悔しい思いをしているのは知っている。努力しているのも知っている」。レギュラーにはなれなかったが努力してきてよかったと、この教師の言葉によって思うことができたのではなかろうか。
 皆さんも、将来保健体育の教師になった時に、このような素晴らしい言葉を生徒に投げかけることのできる教師になってください。

健康心理学
健康科学部 体育科学科
教授 笹竹 英穂


2022年10月

ペットボトルをのぞいてみると・・・

 ペットボトルを使った活用法や遊び方はネットで検索すると数多く出てきます。遊び方の例として、「ペットボトルロケット」、「浮沈子を活用した魚釣りゲーム」、「ペットボトル砲で的当て」などがあり、体験された方も多いのではないでしょうか。そのペットボトルは、炭酸飲料用、お茶、飲料水などその用途に合わせて、形や大きさ、厚さなど違っています。そして、今やワインや日本酒など酒類のペットボトル製品も登場しています。
 ここでふと思うのが、小学校・中学校時代に飲んでいた(今も飲んでいる)飲み物。そう「牛乳」のペットボトルはどうでしょうか。なんとなくありそうですが、みなさんは見たり、買ったりしたことはありますか。私は、まだ、見たことがありません。実は、2007年の省令で、条件付きながら、ペットボトルでの製品化が認められ、実際に製造している会社もあるようですが、様々な要因のため一般化されていないという話を聞いたことがあります。
 さて、こうしたペットボトルは理科や環境教育の「学び」で扱われることが多いのですが、ペットボトルだけでなく、他にも幼児期からの「遊び」(専門的には「自発的な遊び」と呼びますが)から関心をもち、「学び」が広がることが多々あります。このように小さい頃の「遊び」がきっかけとなり、学び、自分の職業とされている方が少なからずおみえかもしれませんね。

理科教育
健康科学部 こども健康・教育学科
教授 鈴木 達見


2022年9月

睡眠をとってから試験に臨む

 試験が近くなると、「もっと早くから準備しておけばよかった」と思うのは、学生の常でしょう。学生さんの中には、試験前夜に、どうしても試験準備が間に合わなくて、ついに徹夜して絶望的な気分で試験場に臨む人もいるかもしれません。
 しかし、勉強時間が多少短くなったとしても、睡眠時間を確保して試験に臨んだ方が、試験の成績は良くなる可能性があります。テレビゲームのような簡単な頭脳ゲーム成績で評価した実験結果では、トレーニング時間が長くなるほど、ゲーム成績は良くなります。しかし面白いことに、休憩せずに長時間トレーニングするよりも、一定時間トレーニングをした後に、短時間の睡眠時間を確保してから、再度ゲームをすると、その成績が突然良くなる現象が知られています。
 これは睡眠の効用として知られている現象で、睡眠時間中に、脳が何もせずに休んでいるのではなく、脳は入力された情報を合理的に有効活用できる形に整理し編纂する作業を睡眠中に積極的に行なっている結果と考えられています。もちろん情報入力なしで寝ているだけでは、何も情報も整理されないので成績も上がりません。
 試験本番前にしっかり集中して勉強をして、短時間でも睡眠時間をとってから、試験に臨むと、最終的に良い成績を獲得することができる可能性が高いです。

臨床医学
健康科学部 栄養科学科
教授 三浦 裕


2022年8月

卓球ボールはなぜ直径40mmなの

 昔の卓球ボールは直径38mmでした。選手の技術が向上し、ラケットやラバーといった用具の開発が進むと、ボールに回転をかけやすくなって行きました。
 選手はボールのスピードと回転で互いに高度な技術を身につけなければなりません。それ自体は卓球の醍醐味でもあり、卓球の技術が高まって行くことも当然の成り行きとも言えます。しかし、テレビなどで試合を観戦した時、観客は選手が行っているプレーが一体どうなっているかが分かり難くなってしまいました。その結果、卓球ファンが減ってしまったのです。
 卓球の面白さはラリーの中での選手の対応にあります。その選手の動きが理解できないのでは面白くありません。そこで、ネットを高くしたらどうなるか、ボールを大きくしたらどうなるかについての研究が行われ、ボールの直径を40mmにし、ボールのスピードも回転も低下してラリーが見やすくなるように変更されました。

スポーツバイオメカニクス
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 飯本 雄二


2022年7月

トレーニングと勉強の共通点

 スポーツ選手の中には、「トレーニングをコツコツ積み重ねるのは好きだけど、勉強はちょっと…」という人が少なくないのではないでしょうか?実は、トレーニングも勉強も成功する秘訣は同じだという事が理解できれば、効果的な勉強法が身につくかもしれません。
 すべてのトレーニングが、最初は「出来ない」から始まっているはずです。そこで、フィジカルトレーニングであれば「短時間なら同じ強度が出来る」とか、スキルトレーニングだったら「腕の動作だけなら出来る」というように部分的に習得していくことから始め、それを繰り返しているうちに持続できる時間や強度、技術の難易度を上げることが出来るようになるのです。
 勉強も同様で、覚えやすいこと、興味を持てることから少しずつ初めて、その量や難易度を上げて行くと楽しく学習することが出来るでしょう。
 このコツコツやることで楽しく上達できる秘訣は「脳」の働きが大きく関係してきます。脳は少し難しいハードルを越えた時に、「もっと高いハードルを越えたい」と思う習性があります。この習性を生かして、勉強とスポーツの両方で沢山のハードルを越え続けて下さい。

運動生理学
健康科学部 体育科学科
教授 髙橋 淳一郎


2022年6月

大人は周りの音を「選んで聴いている」。子どもは?

 みなさんは、大勢の人がいてザワザワした場所にいるとき、ふいにどこからか自分の名前が呼ばれたのに気付いた、とか、気になっている話題が耳に入ってきた、という経験をしたことがあるのではないでしょうか?これは「カクテルパーティー効果」といって、周囲のたくさんの音のなかから、自分に必要な音の情報を選択して聴き取る知覚の働きです。大人はこのように普段の生活で必要な音を聴き分けて生活していますが、赤ちゃんや幼い子どもは、この機能が未発達です。
 この機能が未発達だと、どうなるか。保育園での生活を考えてみましょう。保育園での生活は、さまざまな音であふれています。保育士の声、子どもたちの話し声だけでなく、誰かの泣き声、笑い声、椅子の足が床にこすれる音、机に何かが当たる音、扇風機の音、隣のクラスの音や声、お遊戯室から聴こえるピアノの音、園庭の遊具が動く音、などなど…。数えきれないほど多くの音が、絶えず変化しながら存在しています。大人はこれらたくさんの音のなかから、無意識のうちに自分に必要な音を聴き取り、ほかの音は無視しています。ところが赤ちゃんや幼いこどもは、このような周囲にある「すべての音」から必要な音を聴き分けることができず、ひとかたまりの音として聴いているのです。
 つまり、「ザワザワしている場所で先生の話を集中して聴く」とか「誰かとおしゃべりしているときでも自分の名前を呼ばれたらすぐに反応する」ということは、必要な音を選択して聴き取る力が発達しているからこそできることなのです。赤ちゃんや幼い子どもと接するとき、周りによーく「耳」を凝らしてみましょう。その場所の音環境は、「すべての音」を聴く赤ちゃんや幼い子どもにとって落ち着けるものでしょうか?

こどもと音楽
健康科学部 こども健康・教育学科
助教 松川 亜矢


2022年5月

『うんち』で競技力向上??

 アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、それぞれの競技特性に合わせた体格や身体組成(身体の成分組成)が求められます。そして、理想的な「体」を作るためには、トレーニングだけではなく適切な栄養摂取が不可欠となります。なぜなら、私たちの「体は食べた物でできている」からです。実は、この「体」と「食べ物」と「腸内細菌」には深い関係があるんです。
 様々な研究により、腸内細菌が栄養素の消化吸収を助けたり、ビタミンの合成に関わることが明らかになっています。つまり「体は食べた物でできている」ではなく、正確には「体は、腸内細菌の助けによって食べた物から吸収されたものでできている」ということになるわけです。
 さらに、最近の研究でトップアスリートと一般人とでは腸内細菌のバランスが大きく異なることも分かってきました。
 アスリートがベストコンディションで長く競技を続けるために、腸内細菌の解析によるコンディショニングがこれからのスポーツ界のスタンダードになってくるかもしれませんね。

スポーツ栄養学
健康科学部 栄養科学科
准教授 杉島 有希


2022年4月

スポーツ組織にフォーカスしてみよう

 「高校スポーツ」と聞けば、皆さんはどのような競技をイメージするでしょうか。野球や、サッカー、陸上、バレーボール、バスケットボール、ゴルフ、卓球など自身が携わっているものや、テレビやネット、現地で観戦したことがある競技を連想されると思います。
 さて、例に挙げた競技の中で、インターハイなどを管轄している全国高等学校体育連盟(以下、全国高体連)に加盟していない競技があります。どの競技か分かりますか?
 答えは、野球とゴルフです。
 野球は日本高等学校野球連盟(以下、日本高野連)、ゴルフは日本高等学校・中学校ゴルフ連盟が高校カテゴリーの統括組織となります。その他にも、アメフトやチアリーディング、サッカーの「クラブユース」なども全国高体連には加盟していません。
 このように高校スポーツといっても、競技によって統括する組織が異なります。そして統括組織によって方針や取り組みが違い、大会の出場権獲得方法や記念大会枠の考え方なども変わってきます。
 例えば、全国高体連管轄の全国選抜大会では出場するための明確な選考基準があります。一方、日本高野連が主催する選抜高校野球大会では、大会約1ヶ月半前の選考委員会で出場校を確定するため、一定の基準は設けていますが、明確な選考基準を定めていません。
 また、歴史的にも組織の立ち上げ時期は異なります。全国高体連よりも日本高野連の方が早く創設していることをご存知でしょうか。全国高体連は1948年6月、日本高野連の前身である全国中等学校野球連盟は1946年2月に設立されています。
 皆さんがプレーまたは関わっている競技がどの組織に属しているか考えたことはありますか?高校スポーツ以外にも多くのスポーツ組織があります。少し目線を変えて、自身が関係する組織にフォーカスしてみましょう。新たな発見があるかもしれません。

スポーツ社会学・スポーツマネジメント
健康科学部 健康スポーツ科学科
助教 久保 賢志