至学館の豆知識

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2017/12月

蘇生法用人形「レサシアン」のエピソード

 この頃駅や市役所、公営の体育館などで心臓に電気ショックを与えるAEDが設置され、心肺蘇生法の講習会も盛んに行われるようになりました。 心肺蘇生法では胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸の練習用人形を使って実技をします。 少し前までこの人形は女性の顏のモデルであるレサシアンと呼ばれるものが定番でした。 この人形にはエピソードがあります。20世紀初めにパリのセーヌ川で自ら命を絶った少女は身元不明で、当時の習慣によりデスマスクが作られました。 後の人工呼吸法用人形開発者が、この若く美しい少女の死に胸を痛め、また訓練学生にとって美しい実物大の模型があれば励みになると考え、少女のデスマスクをモデルに人形を作り、「レサシアン」と名づけました。 今では世界中で多くの人がレサシアンを使って蘇生法を習得しています(レールダルレサシアン説明書より引用)。 ただ残念なことに、女性の顏のモデルは数年前製造中止となり、最近では男性の顏のモデルに変わっています。

安全・救急法
健康科学部 健康スポーツ科学科
准教授 光岡 かおり


2017/11月

♪ドレミって…なんでドレミっていう名前なの?

 「ド」の次の音は「レ」、「レ」の次の音は「ミ」、そのあとは…「ファ、ソ、ラ、シ、ド」と続いていきますね。 音にはドからシまでの名前がついていて、多くの人が「ドレミファソラシド」と音の名前をすらすら言うことができます。 有名な「ドレミの歌」の歌詞「ドはドーナツのド、レはレモンのレ…」で覚えた人もたくさんいるのではないでしょうか。
 でも、ちょっと考えてみてください。「ド」とか「レ」とか「ミ」とか、なぜその音はその名前になったのかご存知ですか? 誰がその名前をつけたのでしょう? 適当に名付けたのでしょうか?
 実はこの「ドレミ」の起源、中世イタリアのカトリック教会までさかのぼります。 今から1000年も前、11世紀のイタリアに、グイード・ダレッツォ(Guido d’Arezzo;995?~1033?)という修道士がいました。 グイードは優れた音楽理論家で、音楽を教えるときに音に名前がないのを不便に思っていました。 そこで彼が目をつけたのが、聖歌集の中の『ヨハネ賛歌』という曲。 これは各フレーズの始まりの音がひとつずつ上がっていく曲なのです。
 これはちょうどいい!と思ったグイードは、その歌詞をそのまま音の名前にすることにしました。 ウト(Ut)、レ(Re)、ミ(Mi)、ファ(Fa)、ソル(Sol)、ラ(La)です。
 こうして「ドレミ」が始まりました。 16~17世紀頃には、言いにくい「ウト」が「ド」に変わり、「シ」が加わって現在の形になりました。
 今では世界的に使われている「ドレミ」という音の名前、ひとつの曲から、ひとりの音楽家が考え出したものだったのです。 これからも、舞台で、練習室で、学校や幼稚園、保育所で、世界中の様々な場所で受け継がれていくでしょう。

芸術・文化論
健康科学部 こども健康・教育学科
助教 松川 亜矢


2017/10月

COREトレーニングはコツコツ(骨骨)と

 CORE(体幹)トレーニングはトップアスリートのパフォーマンス向上から高齢者の腰痛予防のトレーニングに広まってきました。 ところで、体幹を鍛えるといっても、どの筋肉を鍛えるの?「ズバリ!○○筋です!」と一つの答えはなく、さまざまな方法が唱えられています。
 体幹トレーニングが流行りだした初期は、体幹の表面にある筋肉を鍛えていました。ご存知、腹筋群、背筋群です。皆さんの手で触れることが出来る筋肉です。 しかし、表面にある筋肉は力を出すのが得意なので、同じ状態を維持するのが苦手、疲れやすい筋肉ともいえます。 なのに、ギューと身体を固めてしまうアイソメトリックトレーニングをしています。筋肉ががちがちになって融通が利かない身体になってしまいます。
 そこで、それよりも深部にある姿勢維持に働く筋肉を鍛える方法へと変わっていきました。 さらに現在は筋肉を突き抜けて、骨と骨の配置を整えるということも広まっています。 背骨は頭から腰までにS字のカーブを描いています。そこに肋骨と骨盤がついています。骨に付いている最深部の筋肉は、力を発揮する筋肉ではありません。 骨の配置を維持するために、じわじわと同じ力を出し続ける長所をもっています。 そして、ギューっ都固めるのでなく、背骨を一つ一つ、細かく、やわらかく動かすほうが体幹部の肩甲骨、肋骨、骨盤が正しい配置され、怪我をしにくくなります。 手足も楽に運動できます。だから骨の周りの筋肉を鍛えましょうという発想です。 肋骨と骨盤をつなぐ筋肉は呼吸するときにも働くので、おなかをへこませているときは、その筋肉がずーーーーーっと働いてますよ。 このように、呼吸との関わりもあるので、ピラティスやヨガは体幹トレーニングの元祖とも言えるでしょう。 そう、体幹を鍛えるのはコツコツ(骨骨)と地道なほうが良いのです。

解剖・生理学
短期大学部 体育学科
准教授 西沢 富江


2017/9月

人体の「再生」

 ギリシャ神話の神の一人プロメテウスは天界の物であった「火」を盗んで人間に与えたため、怒った最高神、ゼウスはプロメテウスを山頂に磔にし、毎日大鷲に肝臓をついばまれる責め苦を与えた、とギリシャ神話にあります。これはもちろんフィクションですが、「肝臓」ではなく他の臓器ではすぐに死んでしまうので、責め苦が「毎日」続くことは無いところに生々しさを感じます。実際、肝臓は他の臓器と異なり強い「再生力」を持っていることが知られています。例えば肝臓は手術などで2/3を切除されても、残る1/3が成長して2週間~1か月程度でほぼ元の重量と機能を回復します。これは、肝臓が傷害を受けるとそれに反応して肝細胞増殖因子(hepatpcyte growth factor, HGF)の血中濃度が高まり、それに反応して残った肝細胞が急速に分裂増殖し始めるためです。HGFを発見し、古代ギリシャ時代から認識されていたであろうこの肝臓の再生力の仕組みを解明したのは日本人研究者(中村敏一、大阪大学名誉教授)ですが、HGFが肝傷害時の何に反応して増えだすのか?逆に肝臓が元の重量に回復したらなぜ肝細胞は増殖をやめるのか?ということはまだ分かっていません。その仕組みがあって肝臓は「適正な」大きさと働きを維持しているといえます。この問題の解決は、細胞が異常増殖する疾患、すなわちガンの仕組みや、再生しないといわれている組織の障害、例えば神経傷害による麻痺や後遺症の治療方法などにも発展することが期待されています。


分子生物学
健康科学部 栄養科学科
准教授 町出 充


2017/8月

ウォーミングアップは何のためにやるの?

 トレーニングや試合の前に行われるウォーミングアップですが、どんな目的でどんな内容でやっていますか?
 ウォーミングアップの一番の目的は、その後のトレーニングや試合で高いパフォーマンスを発揮できるように、からだの準備を整えることにあります。もう一つの目的として、けがの予防がよく挙げられますが、実はウォーミングアップがけがの予防につながるかは今現在でもわかっていません。
 ウォーミングアップに体操やストレッチングが頻繁に取り入れられますが、これらは高いパフォーマンスの発揮に効果があるとは言えません。特に、グッグッと反動をつけながら膝や腰などを曲げ伸ばしする体操は、筋肉や腱、靭帯を痛める可能性があり逆効果です。
 理想的なウォーミングアップとしては、トレーニングや試合で用いる動きを中心に、全身を使った運動を徐々に強度を上げながら20分前後実施することがすすめられています。

トレーニング科学
健康科学部 健康スポーツ科学科
助教 宮澤 太機


2017/7月

「防災意識を高めよう!」

 気象庁が出す特別警報を知っていますか。これは、これまで発表されていた警報の規準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な危険性が著しく高まっている場合に発表されるものです。特別警報の対象となる過去の災害では、東日本大震災の大津波、伊勢湾台風の高潮、平成12年の東海豪雨などが挙げられます。 どれも大きな被害が出でいたものばかりです。特別警報が出た場合には、その地域は数十年に一度しかないような非常に危険な状況にあります。すぐに命を守る行動をしなければなりません。
 ところで、気象庁がこれまでの「警報」の他に特別警報を創設して発表することにしたのはなぜだと思いますか。それは、東日本大震災の時には大津波警報を、平成23年の台風12号の時には大雨警報を発表して、重大な災害への警戒を呼びかけたにもかかわらず、そこに住んでいる人々の素早い非難行動に結びつかなかったからです。気象庁は災害に対する危機感をしっかりと伝えるために、特別警報を平成25年8月末から運用を開始したのです。
 特別警報が発表されないからといって安心するのは禁物です。もともと「警報」は、重大な災害の起こる恐れがあるときに発表されるものです。しかし、「警報」が出されても被害の経験がないと、人はその情報を軽視して、警戒を緩めてしまうことがあります。
 「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉を知っていますか。物理学者で随筆家でもあった寺田寅彦氏の言葉です。彼は、「天災と国防」という著書で次のようなことも述べています。

  • 日本は気象学的地球物理学的にもまたきわめて特殊な環境の支配を受けているためにそ の結果として特殊な天変地異に絶えず脅かされなければならない運命のもと置かれている ことを一日も忘れてはならないこと
  • いつも忘れがちな重大なこととは、文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその 激烈な度を増すという事実であるということ
  • 昔の人間は過去の地震や風害に耐えた経験を大切に保存し蓄積してその教えにたよるこ とが甚だ忠実であったということ
 百年以上前に書かれたものですが、日本に住み情報化の時代に生きる私たちが決して忘れてはならない防災意識が込められている文章だと思いませんか。子どもたちがいざというときに命を守る行動が素早くとれるように、まず私たちの防災意識を高めることが大切ですね。

理科教育・学校教育
健康科学部 こども健康・教育学科
教授 廣瀬 帆曜


2017/6月

「認識レベルから行動レベルへ」

 カーナビの調子が悪くなり音声が出なくなりました。地図を持たなくなった昨今、不案内な土地では途端に制御不能に陥ってしまいます。画面に目をやるも、前方より注意が逸れてしまってはいけないので中途半端な確認になりうまくいきません。そこで、助手席に乗っている人にナビゲーションを依頼しました。しばらくすると、案内標識に出てくる情報を伝え始めましたが、標識に記された土地名やどちらに曲がるとどこへ向かうといった、目に飛び込んでくる情報すべてをこと細かに伝えてくれました。こうなると運転者は、どうしてよいのかわからなくなり、予定していたインターで降りられなくなったり、ひとつ手前の交差点で曲がってしまったりして、効率よく目的地にたどり着くことができなくなってしまいました。
 これは運転者の欲している情報と入ってくる情報が「かみ合わない」ことによるもので、リスクを回避する上で、まず、検討しなければならない項目です。この場合、運転者には「○○m先を左(右)」「○km先のインターを降りる(入る)」と端的に行動を促す情報のみ提供することが求められるでしょう。
 学校におけるリスク・マネジメントも同様で、対象となる「子ども」に多くの情報を与えても、彼らによる危険回避の行動化を期待することはたやすくないということです。「何のためにやっているのか」を常に振り返らなければ、対策ありきの対策になってしまい「かみ合わない」状態になるわけです。そこで、次の例を考えてみましょう。
 感染症予防に「手洗い」は有効であり、その洗い方の質を高めたい。どのフレーズがよいでしょうか。
 ① バイ菌・ウイルスからからだを守るために、「すみずみまでていねいに洗いましょう」
 ② バイ菌・ウイルスからからだを守るために、「手のひらをゴシゴシ洗いましょう」
 ③ バイ菌・ウイルスからからだを守るために、「指先や指の間、手首まで洗いましょう」
 どれも学校の手洗い場に貼ってありそうなフレーズですが、③が具体的で手指衛生の質を高めると思われます。①②はしっかり洗わせたい意図はわかりますが、洗う部位が曖昧で洗い残しが生じてしまいます。
 ここでは、「感染症予防になる手洗い」をねらいとしており、対象となる「子ども」は「しっかり洗う部位」を求めています。そこで、端的に行動を促す情報、つまり、「かみ合う」情報は③ということになりますね。学校保健の分野では、こんな側面も考えていきます。

学校保健学・保健科教育学
短期大学部 体育学科
助教 上島 久明


2017/5月

「不老長寿特区」

 研究の合間に究極の「健康」とは?と想像することがあります。それは多くの人の夢でもありますが、古来日本は「不老長寿」の国と思われていた時代があったようで、秦の始皇帝は日本に不老不死の仙薬を求めて徐福という名の遣いを派遣した記録が、中国だけでなく日本各地に残っています。確かに日本には、不老長寿にまつわる伝承が色濃くみられる地域があります。その名も「わかさ(若狭)」の国(今の福井県嶺南地方)には、人魚の肉を食べて不老長寿になった尼、八百比丘尼(やおびくに or はっぴゃくびくに)の伝説があります。また毎年奈良東大寺の二月堂で行われる「お水取り」の行事では、境内の若狭井(わかさい)とよばれる井戸から汲み置かれた水に「万病平癒」のご利益があるとされていますが、伝承ではその水は若狭地方の小浜市「遠敷川(おにゅうがわ)」が水源とされています。そもそも「にゅう(丹生)」とは、その時代若返りの妙薬とされた水銀の原料鉱物を指した言葉です。なぜ若狭が不老長寿と結びつけられたのかは分かりませんが、この地方は平安時代まで朝廷に食料を貢いだ「御食国(みけつくに)」の一つでもあり、古くから食とアンチエイジングの関心が交差する地域であったようです。現在、至学館大学のある大府市を含め、全国に「健康」を掲げる自治体がたくさんあります。「健康」は一人一人の体の問題のはずですが、「聖地」化による啓発効果は今も昔も大きいようです。


分子生物学
健康科学部 栄養科学科
准教授 町出 充


2017/4月

バットの芯とはどんなこと

 重さのあるすべての物には、重心という重さの中心点があります。バットの重心は指で支えてバランスが取れる場所にあります。また、バットにボールを当てると振動が伝わります。ボールが当たった場所によって振動の伝わり方が違います。芯に当たると不思議なことにあまり振動が伝わってきません。しかも、芯に当たるとボールが打った感触以上に遠くへ飛んで行きます。芯はボールを良く跳ね返す点なのです。その芯がどのようにして決まるかはまだ十分分かっていませんが、バットの重心と振動の特性、バットの形状、材質などが関わっていると考えられます。いずれにしろ、バットの芯とは、振動が伝わり難く、ボールを良く跳ね返す部分で、それは非常に小さい点のようなものなのです。


スポーツバイオメカニクス
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 飯本 雄二


2017/3月

女性(女子)とスポーツ

 “なでしこジャパン”の活躍で女性のサッカー愛好者が増えましたが、レスリングや柔道などの格闘技でも女性アスリートの活躍が注目を浴びています。
 右の表は最近のオリンピックの日本人選手の数です。
 アテネ大会やロンドン大会では女子選手数が男子選手数を上回っています。こうしたトップアスリートの活躍から、わが国では女性のスポーツ参加が盛んになってきていると思いがちです。しかしながら、文部科学省の調査報告(図1)によると、小・中学校女子の運動時間は男子よりはるかに少なく、女子 の運動離れに警鐘を鳴らしています。


体育科教育学
健康科学部 こども健康・教育学科
教授 芹澤 康子


2017/2月

中国観光客の「爆買」のわけ

 2015年に中国観光客の「爆買」は日本の流行語にもなった。その背景は、円安を追い風に中国からの訪日客が急増したのが大きな要因となった。日本政府観光局の統計によると、2015年の訪日外国人客数は1973万人となり、内中国からの訪日客は2014年の2倍強の499万人に急拡大した。この日本で中国の観光客がものを買い漁る光景は、1980年代バブル期に日本人が海外でものを買い盛った姿とそっくりだと語った日本人は少なくない。同時に、中国経済の行き先に対する不透明感、不安感が増しつつあり、訪日客数や消費額への影響を注目するべきであると言う声が良く聞こえる。確かに、どの国にも経済成長は波のようなものだ。中国国家統計局は2015年通年の成長率は6.9%になり、1990年以来25年ぶりの低い伸びとなったと1月19日に公表した。製造業の設備過剰生産や不動産在庫の増加で、生産や投資が低迷したことで、中国経済の減速は世界経済の先行きを曇らせていることになった。
 このように、私達の日常生活と社会は、経済活動により支えられ、経済の仕組みと動きにより変化し続けている。しかし、どのような政策や経済の仕組みが我々の暮らしを支えているのか。「生活と経済」の授業では、経済学の専門用語・概念を理解するとともに、その知識を活用して、身近な事柄を学び、理解していきます。

政治・経済学
短期大学部 体育学科
准教授 陳 麗華


2017/1月

「別腹」って本当にあるの?

 お腹いっぱい食べて、もうこれ以上無理!と思っていても目の前に大好きなスイーツが出てきたら「別腹だから」とぺろりと食べてしまった。こんな経験はありませんか。もちろん、実際に好きな食べ物が入る別の腹があるわけではありません。好きなものであれば別腹があるかのように食べられるという例えです。食欲と満腹感をコントロールする作用はホルモンによって調節され、脳が食べる時と食べるのをやめる時を指示することで、私たちの体重は健康的に維持されています。しかし、非常においしそうな食べ物は時々このような脳の働きを無効にします。スイーツのように魅力的な食べ物は、脳の報酬系(欲求が満たされた時や満たされるとわかった時に活性化し、快い感覚をもたらす神経系)に過剰に働きかけ、食べるのをやめるように指示する脳の働きを抑えてしまうのです。そこで、お腹はいっぱいのはずなのにデザートも食べられるというわけです。太るのを気にしながらも甘いものを食べてしまうのは誘惑に弱いからではなく、こんな脳の働きも関係しているのです。

栄養教育論
健康科学部 栄養科学科
教授 有澤 文子


2016/12月

スポーツマネジメント ―スポーツの発展に必要な知識-

 スポーツが成立するためには選手の存在が不可欠です。審判も必要。監督やコーチ、トレーナーやトレーニングコーチの存在もスポーツ経験の質にかかわる重要な役割を担っています。しかし、ほとんどのスポーツプログラムにおいてこれらの人たちだけではスポーツの成立は難しく、プログラムのマネジメント(企画・管理・運営) を行う人たちの存在が必要になってきます。魅力のあるスポーツプログラムを展開していく際に、プログラムの“まとめ役”を担うマネジメント能力を有した人材が不可欠となり、スポーツをマネジメントする人材次第でスポーツの質が大きく異なってきます。欧米のスポーツ先進国でその学問の重要性は証明されています。多くのスポーツ関係者が大学でスポーツマネジメントを学んだことを活かし、スポーツの発展へ貢献しています。スポーツの価値を最大限生かすための学問であるスポーツマネジメント。みなさんもスポーツ発展のために必要な知識を有する人材を目指しませんか?


健康・スポーツプロデュース
健康科学部 健康スポーツ科学科
准教授 徳山 性友


2016/11月

子どもの車酔いと運動との関わり

 車酔いは乗り物の揺れによって、内耳の平衡器官である三半規管が過剰に刺激されて、目から入ってくる景色と自分のいる場所との感覚のズレによって脳が不安定な状態になり発生します。外からの仕切られた空間でおこりやすく、例えばバスの通路側の後部座席などです。実際はバスが移動しているにもかかわらず目から見える空間に変化がないため、脳は静止していると錯覚し、内耳が感じていることと、脳が感じていることにギャップが生じてしまうからです。
 3歳くらいまでは乗り物酔いは少なく、自分の力で動ける年齢になると発生しやすくなります。しかし、振動に身体が慣れさせることで乗り物酔いになりにくくなり、つまり、三半規管が鍛えられることが重要になります。そのためには、子どもの頃からブランコやシーソーなどの揺れる遊具で遊ぶことや、姿勢の変化が多彩なマット遊びや鉄棒遊びをたくさん経験させることをおススメします。

幼児体育
健康科学部 こども健康・教育学科
助教 内田 智子


2016/10月

スポーツ外傷・障害から早期に復帰するためにはどうしたらよいか?

 スポーツ活動を続けていく中で、必ずといっていいほどスポーツ外傷・障害は起こってしまいます。アスリートはケガを体験することにより様々な事、例えば痛めてしまった部位の構造とか機能、また痛みの原因等を学びます。しかし、復帰までのプロセスに関しては、その道筋は理解しているものの、精神的な不安や焦りから完治する前に無理をして復帰してしまうケースが非常に多いように感じます。このようなケースの場合、完治していない組織にストレスがかかるため、予後がすっきりせず、長期間パフォーマンスに影響します。では、スポーツ外傷・障害から良い状態で早期に復帰するためにはどうしたらよいのでしょうか?
 例えば骨折して全治4週間と診断された場合、ロボットのようにその骨をお店で購入し簡単に取り換えることができたら良いなといつも思いますが、もちろん不可能です。人は治癒するまでに、必ず時間が必要になります。治癒能力には個人差がありますが、アスリートの場合大差はありません。アスリートはドクターやトレーナーからのアドバイスで、復帰までのプロセスを実行していきます。早期復帰へ向け大切なことは、ケガの原因が判明したら基本に忠実になるということです。復帰に向けての評価は専門家(ドクター・アスレティックトレーナー)に委ね、アスリートは指示されたリハビリテーションプログラムを忠実に行い、完全な状態で復帰することが大切です。しごく基本的なことですが、その過程の実施状況が、予後のパフォーマンスを左右します。大切なのは自身の身体能力を正しく理解するということです。

アスレティックトレーナー
短期大学部 専攻科
准教授 佐藤 丈能


2016/9月

トクホは効くの?

 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品は、科学的根拠をもとに「食後の血糖の上昇を抑制する」などの機能表示が認められた食品です。これまでに、トクホは1,200品以上、機能性表示食品は400品以上が市場に登場しています。果たしてこれらの食品は私たちの健康づくりに役立っているのでしょうか?
 女子大学生約1,200人を対象に、「体に脂肪がつきにくい」の表示が許可されたトクホの利用実態を調査したところ、利用したことがある者は約50%、そのうち効果を体感した者は1%以下でした。効果を体感できなかった理由として、トクホの効果が期待される対象者(生活習慣病になりかけている人)でない者が利用していたことが考えられました。トクホや機能性表示食品の科学的根拠は、対象者、食生活を含めた生活習慣、利用方法(期間や摂取のタイミング)等が厳密に管理された条件で得られたものです。
 トクホや機能性表示食品は、多様な食生活の中で誰がどんな食べ方をしても効果が得られる食品ではないことを認識しておかねばなりません。

栄養学
健康科学部 栄養科学科
教授 村上 太郎


2016/8月

パラリンピック豆知識

 2020年オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。パラリンピックは、2020年8月25日~9月6日まで東京都内を中心に実施されます。2020年東京大会は、夏季大会ですが、冬季大会も、冬季オリンピック開催後実施されています。1998年長野冬季オリンピック・パラリンピックが長野市を中心に開催されました。
 パラリンピック(Paralympic)の名前の由来は、「もう一つ(Parallel)+オリンピック(Olympic)」の合成語です。
 第1回夏季パラリンピックは、1960年ローマで開催され、2012年ロンドン大会(第14回)まで開催されました。あまり知られていませんが、1964年東京オリンピック終了後、東京パラリンピックが開催されました。国内では、この大会が、障がい者の方の競技スポーツの始まりと言われています。
 パラリンピックの特長は、使用する用具・ルールを工夫していることです。例えば、車椅子を使用する選手が、テニス・バスケットボール・陸上競技に参加した場合、ルールを工夫します。テニスの場合、2バウンド後の返球が有効である等、ルールを変更していいます。
 障がいの異なる選手が、同じ競技種目に参加する場合は、障がいの種類・程度を分けて(クラス分け)競い合います(陸上競技100mでは、「車椅子の選手」「義足の選手」「視覚障がいの選手(伴走者有)」と分けて実施。同じ種目で、障がいの種類・程度を分けて公平な競技ができるようにしています。

障害者スポーツ論
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 大槻 洋也

※大槻教授は、ブラジル・リオデジャネイロで開催されるパラリンピック競技大会(平成28年9月7日~9月18日)の日本代表選手団団長に選出されました。同オリンピック同様、パラリンピックもご期待下さい。


2016/7月

身長は朝と夜に差がある?


 身長は起床時が最も高く、就寝前に最も低くなります。身長の日内変動は1.5cm~3cmあります。身長は、起床してから4~5時間までに短縮が進み、その後、緩やかになります。一日中寝ていれば変動はありません。しかし、無重力な宇宙では、身長が2.5cm 伸長化したとの報告があります。
 身長におけるこの日内変動は脊柱の生理的S字状彎曲が重力によって変動するもので、起床時の緩やかな彎曲から、時間経過とともに彎曲の程度が著しくなります。また、脊柱の椎間板には弾力性があり、多くの水分が含まれています。この椎間板は,直立していれば重力によって圧縮され,水分が減少し扁平な状態となり、脊柱が全体的に短縮されます。高齢者は、子どもに比べて身長の日内変動が少ないといわれています.これは加齢により椎間板の柔軟性が減少したためです。
 なお、日中重い荷物を持てば身長の短縮量は大きくなります。しかし、横になって休むことで、この変動は若干回復します。平均身長は午前中の10時頃です。したがって、身長計測は午前中に測定するのが望ましいと考えます。

体力測定・評価
短期大学部 体育学科
教授 服部 康子


2016/6月

子どもと家庭の福祉について考える ――手がかりは「コアラ」!?

 今回は、子どもの育つ力を信じて子どもとその家庭を支援していく取り組みである「子ども家庭福祉」について下の図を手がかりに考えてみます。みなさんはこの図、何に見えますか?これ、実はコアラなんですって(ミッ○ーマウスにも似ていますね)!

1.コアラの目
 コアラの「左目」にあたる部分には、「子ども家庭福祉サービスが取り組むべき問題(以下、問題)」、「右目」には「問題を解決するための社会資源(以下、社会資源)」があります。「問題」の定義はその時代や立場によって異なりますが、現在では子ども虐待問題がその代表格です。そして、「社会資源」には保育所や児童養護施設などの児童福祉施設、児童相談所などの相談機関、在宅福祉サービスなどが挙げられます。
2.コアラの鼻
 この「問題(左目)」と「社会資源(右目)」とをうまく結び付けることができると、効果的に解決を図ることができます。そこで、これらを結ぶものとしてコアラの「鼻」に位置する「問題と資源をつなぐ援助者および援助技術(以下、援助者・技術)」があります。援助者は、保育士、児童福祉司などの専門職が中心であり、問題を抱える人(子どもや家族)の立場に立ち、ソーシャルワークなどの専門的な援助技術を使って解決を図ります。
3.コアラの耳
 しかし、「両目(問題と社会資源)」とそれをつなぐ「鼻(援助者・技術)」だけが「子ども家庭福祉」を構成しているわけではありません。コアラの「耳」に位置する、援助を何のために行うのか、どういう方向に解決しようとしているのか、という「援助の目標や援助観」も重要です。これは、子ども家庭福祉の理念(考え方)や制度・政策のあり方とも深く関わるものです。

 例えば、子ども虐待問題について援助者は、子どもを虐待から守りその回復と生活等を支援することはもちろん、たとえその親が虐待の加害者であったとしてもその親(家族)も含めた援助を考えていく必要があります。子ども家庭福祉においては、子どもと親(家族)、両方の人権を尊重するという援助観に基づき、目標をもって社会資源を有効に活用し援助することが求められているのです。
 いかがでしたか?「子ども家庭福祉」の基本要素とその関係という難しい事柄が、「コアラ」によって少しだけわかりやすくなりましたね?

参考文献:山縣文治編『よくわかる子ども家庭福祉<第9版>』ミネルヴァ書房,2016年

子ども家庭福祉
健康科学部 こども健康・教育学科
助教 吉田 幸恵


2016/5月

脳の約60%を占める重要な栄養素は脂質!!!

 人間の脳の約60%を占める脂質は、健康を左右する大切な栄養素です。油は太るというイメージをもたれていますが、正しい油の知識をもち、質のいい油を見極めて適正量摂取することは、若々しく健康な生活を送るうえで大切なことです。
 そこで、最近、注目されている「ココナッツオイル」、「エゴマ油」、「アマ二油」の機能性と市場における年代別購入ランキングについてご紹介します。
 「ココナッツオイル」には、炭素数が6~12個の中鎖脂肪酸が60%(ラウリン酸 C12:0は50%)含まれ、腸で消化、吸収される速さは、炭素数14個以上の長鎖脂肪酸の4~5倍、代謝は10倍で、体脂肪の燃焼を活発にし、肥満の原因となる中鎖脂肪酸をつきにくくします。 また、ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸から作られるケトン体は、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源として使用され、認知症の予防と改善、ダイエット効果、美肌効果が期待されています(1日大さじ1~2杯程度)。
 「エゴマ油」、「アマ二油」には、体内で生成されない必須脂肪酸であるα(アルファ)-リノレン酸がそれぞれ約60%、50%含まれ、体内に入ると脳の栄養素と言われるイコサペンタエン酸(IPA)(エイコサペンタエン酸:EPAともよぶ)、ドコサヘキサエン酸(DHA)に変換され、血液中のLDL-コレステロールを減らし、HDL-コレステロールを増やすとともに血管を若返らせ、血液を良質化します。血液が良質化されると、肌の新陳代謝が促進され、美肌効果も得られます。同時に脳の神経細胞を刺激し、活性化することで認知症予防効果、脳梗塞予防効果、集中力、記憶力の向上等にも繋がります(1日小さじ1杯程度)。
 市場における食用油の年代別購入ランキング(2015)は、20代の人は、1位から3位までがココナッツオイル(メーカー別)、4位、5位がアマ二油、7位がエゴマ油でした。30代と40代の人では、上位1位、2位がココナッツオイル、9位にエゴマ油、その他にはオリーブオイルやキャノーラ油でした。50代以上の人では、1位、2位がココナッツオイル、3位、7位がアマ二油、4位から6位がエゴマ油でした。若い人も50代以上の人も、美容とダイエット効果が期待できるココナッツオイルが上位にランクインしており、次いで認知症予防の観点からアマ二油、エゴマ油の人気が高く、どの年代も健康に対する関心度が高いと思われます。料理に「ちょっとかけるだけ」、飲み物に「まぜるだけ」で利用できるので、健脳食で自分の夢(目標)をかなえてください。

食品学
健康科学部 栄養科学科
教授 西岡 茂子


2016/4月

お母さんが、おなかの中であかちゃんのこころとからだを育みます。

 お母さんの生活習慣が、あかちゃんの発育に影響することがわかってきました。ヒトの遺伝子は、受精して一つの細胞が出来上がると、同じ遺伝子を持った細胞が増えていき、一生涯変わりません。
 では、どのようにヒトの個性は、つくられるのでしょうか。お母さんがおくる日常生活は、あかちゃんの育つ子宮の中の環境に影響します。例えば、お母さんが妊娠中にダイエットをすると、子宮内の栄養状態が悪くなります。あかちゃんは、お母さんのなかで、「生まれた後の世界は、きっと栄養が足りないんだ」と感じてしまいます。そのために、エネルギーをたくさん使う役割の遺伝子を出なくして、エネルギーを蓄えやすいからだにしようとします。このような遺伝子の調節を専門用語で「エピジェネティクス」といいます。あかちゃんにとって、生まれた後の世界との唯一の接点がお母さんです。お母さんの健康的な生活が、あかちゃんの良好なこころとからだを育むのです。


加齢学
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 十枝内 厚次


2016/3月

ちがいはどうして生じるの?
-立ち幅跳びで250cm跳ぶ人と200cmしか跳べない人-

 体力測定で、立ち幅跳びを行いました。A君は200cm、B君は250cmでした。このちがいは何が原因でしょうか。たしかに、跳躍技術やその時の心理状態などが影響しますが、それらが同じだったとしたら、この二人は何がちがうのでしょうか?
 そもそも「立ち幅跳び」は体力要素の何を測っているのでしょうか?ずばり瞬発力です。瞬発力は専門的には「筋パワー」とよばれ、「筋肉が素早い動きの中でどれだけ強い力を発揮する能力があるか」を表すもので、「筋力×スピード」で求めます。一瞬で遠くへ跳んだり、高く跳んだり、遠くへ投げたりといった運動に関係する体力要素です。したがってB君の方がA君より筋パワーが高いということです。
 B君の筋パワーが高い理由の一つは、日ごろからウエイトトレーニングで脚筋力を鍛えていたということが考えられます。確かにトレーニングによって、筋肉が肥大し、筋力が高まります。それでは A君がB君と同じトレーニングをしていたら同じ距離を跳べるようになるのでしょうか?そうとは言えないのです。 B君(筋パワーが高い)とA君(筋パワーが低い)は筋肉の性質が異なっている可能性があります。B君の筋肉は、「収縮速度(スピード)が速く収縮力(筋力)が大きい速筋線維」の割合が「収縮力は小さく収縮速度は遅いけれど持久的な遅筋線維」より多いと推察できます。
 体力測定をすると、体力の高い人と低い人にわかれます。なぜそのような差ができるのか、どうしたら体力を効率よく高められるのかという、素朴な疑問の解決を前述のように学んでいくのが「トレーニング科学Ⅰ」です。自分自身の体力を高めるためばかりでなく、指導者として対象に応じた体力の高め方を学習する上でも重要な知識ですね。

運動学(野外運動)
短期大学部 体育学科
准教授 山根 真紀


2016/2月

子どもたちの成長にとって大切な「サンマ」ってなぁに?

 三つの「マ」を持つことが、子どもたちの成長にとって大切だと言われていることをご存知ですか。では、この三つのマ、すなわち「サンマ」、が何を指すのか少し考えてみましょう。

  1. MOTHER:マザー  (どんなわがままでも聞いてくれるお母さん)
  2. MONEY :マネー  (好きなおもちゃをたくさん買うためのお金)
  3. MAGIC :マジック (大嫌いなピーマンを大好きなチョコレートに変える魔法)
 正解!では・・・ありません。確かに、どれも魅力的に感じるかもしれませんね。しかし、子どもの成長に大切な「サンマ」とは次の三つをさしています。
  1. 時間 (子どもたちが自由に遊ぶことができる時間)
  2. 空間 (子どもたちが思いきり遊ぶことができる空間)
  3. 仲間 (子どもたちが一緒に遊ぶことができる仲間)
 子どもたちは、仲間とともに自分たちだけの空間を創り、そこで子どもらしい時間を積み上げていくことを通して、創造力や協調性などを獲得し自立していくのです。近年、都市化や少子化を例とする顕著な社会変化により「三間」が失われつつあると言われています。子どもがたくさんいた時代、隣近所に公園や空き地があった時代、塾や習い事に通わず放課後にたっぷりと自由な時間があった時代、そんな時代に戻ることは難しいでしょう。そこで求められるのは、現代の子どもたちが置かれた状況に寄り添った「三間」の獲得方法を創出すること、すなわち、子どもが少なく、安全に遊べる場所がなく、自由な時間を持たない子どもたちが、いかにして「三間」を獲得することができるか、知恵を絞ることです。何か素敵なアイディアが浮かんだら、ぜひ至学館大学まで連絡くださいね。

教育学
健康科学部 こども健康・教育学科
准教授 松山 有美


2016/1月

食事の彩が大切っていうけど、それって何にいいの?

 古代から食べ物は、体に対して良い効果をもたらすといわれ、五味、五色、五法という言葉があります。
 五味とは、「塩、甘、酸、辛、苦」の味つけで、五色は、食材の色をさし、「青(緑)、赤、白、黒、黄」です。五法は、「生、煮る、焼く、揚げる、蒸す」という調理法です。
 これは、これらを組み合わせた食事を摂ることにより、健康な体を保てるという考え方です。
 最近注目されている食物成分のひとつにフィトケミカルというものがありますが、食物の色素、香り、アクなどに含まれる化学物質で、「機能性成分」ともいわれているものです。
 フィトケミカルは、単独で摂るより組み合わせて摂ったほうが効果的なことが分かっています。1食の中でいろいろな色の食材を摂ると多くのフィトケミカルが摂れます。
 彩は、食材を「きれいに盛り付ける」という意味だけでなく、このような科学的根拠があっての彩なのです。

調理学
健康科学部 栄養科学科
准教授 伊藤 正江


2015/12月

クリスマスや年明けなどに携帯やスマホのメールが送れなくなることがあるのはなぜ?

 クリスマスのメリクリ・メッセージや正月のアケオメ・メールなど、メールを送ったのに届かない、送られてきているはずなのに届かない、というようなことを経験したことはありませんか?
 携帯電話やスマートフォンで電子メールをやりとりする場合、一見端末から端末へ一対一でやり取りしているように思えますが、実際には発信者の元から何度か「サーバ」というシステムへメールの内容を書き込みながらリレーしていき、その後最終的に受け手の端末へ届く仕組みになっています。
 サーバの基本的な構造はパソコンと同じです。したがって、同時に膨大な数の書き込みが行われると、処理に時間がかかったり、場合によってはシステムが壊れてしまったりすることもあります。そうすると、システムが復旧するまでメールの正常なやり取りが行えません。このような理由から、同時に多数のメッセージがやり取りされるクリスマスや年明けに一時的にメールが届かなくなることがあるのです。このようなことは、大きな震災などの災害が起こった場合にも起こり得ます。
 最近は、携帯電話の会社(キャリア)もこのようなトラブルがないよう、あらかじめサーバの能力を高めたりネットワークの規模を拡大したりするなどの措置を施していますが、大災害の際には不要不急のメールのやり取りを控えるなどした方が良いでしょう。

情報教育、メディア工学
健康科学部 健康スポーツ科学科
准教授 前野 博


2015/11月

「ばぁば」は「じぃじ」に勝つ!?

 口を一度も閉じずに「アイウエオ」と言ってみてください。言えますね。では、同じように口を一度も閉じずに「マミムメモ」「バビブベボ」「パピプペポ」と言ってみてください。いかがですか? 難しいでしょう? それもそのはず、m、b、pは、一度閉じた上下のくちびるを開くときに出す音だからです。
 これら「マ行」「バ行」「パ行」音の多くは、比較的簡単に出せるようで、赤ちゃんもマスターするのが早いと言われています。だから「パパ」「ママ」や「マンマ」「ブーブ(お湯、お茶)」は、早くから言えるようになるのですね。というより、早くマスターできる音だからこそ、「パパ」「ママ」「マンマ」「ブーブ」などが、赤ちゃんにとって大事な意味を表す言葉になっていったのでしょう。
 マスターするのが難しい音もあります。たとえば「サ行」や「ザ行」の音。「サ行」「ザ行」音の多くは、上下の歯の間を息が擦(こす)り出される時に出る音です。歯がある程度生えそろってからのほうが、断然発音しやすいのです。
 ―ということは、赤ちゃんにとって、どちらかと言えば「ばぁば」は簡単で、「じぃじ」は難しい言葉ということになりそうですね。
 「赤ちゃんが、私のことを呼んでくれた!」と最初に喜ぶのは「パパ」「ママ」に譲るとして、「ばぁば」も、まもなくその喜びを味わうことができるでしょう。でも、「じぃじ」は?
 赤ちゃんが「じぃじ」と呼んでくれないのは、「じぃじ」のことが嫌いだからではありません。「じぃじ」という音が難しいからなのです。がっかりしている「じぃじ」を見かけたら、ぜひ理由を教えてあげてくださいね。

国語科教育・国語学
健康科学部 こども健康・教育学科
助教 加古 有子


2015/10月

運動するときのコツとは何者か

 先日、私が担当している器械運動の授業でこんなことがありました。鉄棒の授業のときに「どうしたら逆上がりができるようになる?」と受講生に聞いたところ、“腹筋を鍛える!”とか“腕の力が必要”と言います。それではまずやってみようということで逆上がりをやったのですが、その中に逆上がりが全くできない学生がいました。受講生の中には「おまえは筋力が足りないんだよ。」とか「気合が足りないんだ」などと言っています。そんな中その学生は私のアドバイスの通り20分くらい練習したのですが、ある時突然ヒョイッと上がってしまったのです。その時は体育館中、拍手喝采でした。
 さて、ここで不思議な問題が浮かび上がります。その学生は20分で腹筋が強くなったのでしょうか?また、腕の筋量が数分で増加したのでしょうか。おそらく違いますね。その学生はおなかや腕の「動かし方」を学んだだけなのです。つまり〈コツ〉をつかんだのです。それがスポーツ運動学で学習する人間の運動感覚の話なのです。みなさんもスポーツをするとき〈コツ〉に出会うことがありますよね。シュートのコツ、ドリブルのコツ、スタートのコツ…。
 でも、運動のコツなんて言うものは一般的には、「そんなもの客観的ではない」とか「その人だけのものでしょ。」といっていつも無視されてしまうものです。しかし、選手や運動する人にとってそれはとても大事なものですね。運動の上達が速い人というのは、コツをつかむのが速い人と言えるかもしれません。また、優秀なコーチや教師はコツのつかみ方をちゃんと教えてくれると人だと思います。おそらく、「あなたの動きはこうなっている」と言うだけでなく「こういう感覚でやるとうまくいくよ」と。
 そこでは “kinästhese” -キネステーゼ- という極めて重要な能力がかかわっており、これを解明し理解することがスポーツの世界では重要になるのです。
 本学では、このような不思議な世界について学習し理解を深めることができます。

スポーツ運動学
短期大学部 体育学科
助教 村山 大輔


2015/9月

プロテインを飲めば飲むほど筋肉は増えるの?

 プロテインとは、日本語で「たんぱく質」を意味しますが、たんぱく質を主成分とするサプリメントとして知られています。たんぱく質は筋肉、内臓、血液など、私たちのからだをつくる材料になります。そのたんぱく質を効率よく摂ることができるプロテイン。たくさん摂取するほど筋肉づくりに有効だと思っている人も多いのですが、これは間違いです。たんぱく質を必要量以上に摂取しても、トレーニングの効果が増大するわけではなく、過剰に摂取したたんぱく質は、体脂肪として蓄積されてしまうのです。
 スポーツ選手のたんぱく質の必要量は、体重1kg当たり1.2~1.7g程度。これは、たんぱく質を多く含む肉、魚、卵、大豆類などを食事の中に上手く取り入れることで、十分に摂取できる量なのです。
 「じゃあ、プロテインは必要ないの?」
 実はプロテインの賢い活用法は、その摂取タイミングがポイントになります。筋肉を効率よく増やすには、運動後、なるべく早くたんぱく質と糖質を摂取することが大切です。しかし、運動後すぐに、たんぱく質と糖質を多く含む食事を用意して食べることはなかなか難しいものです。そんな時、水に溶かしてすぐに飲めるプロテインはとても便利ですよね。プロテインには糖質が含まれているものが多いため、運動直後の補食として利用することができるのです。
 筋肉増量を考えたたんぱく質の摂取には、量とタイミングを考えることがポイントです。

スポーツ栄養学
健康科学部 栄養科学科
助教 杉島 有希


2015/8月

速いボールを投げるためのコツ

 テレビなどで野球の投手が投げるボールの時速が良く報道されます。では、速いボールを投げるにはどのようにすればよいのでしょうか。
 速いボールかどうかは手から離れた瞬間に決まります。離れるまでボールは手の指についています。つまり手の指がどれだけ速いスピードで投げる方向に動いているかで決まるわけです。
 しかし、手の指だけでボールを速く投げることはできません。手につながる腕、胴体、脚が連動して徐々にボールを加速させ、手から離れる直前にスナップを利かせてさらに加速させます。このスナップまでにどれだけ腕を速く振るか、また、腕を振るまでに胴体をどれだけ加速するか、そして、胴体を加速するために脚がどれだけ地面に力を伝えられるかと言うように、全身が連動してボールを加速して行きます。地面を蹴り始めてからスナップまでの一連の動作は「ムチ動作」と呼ばれ、ムチがしなって進みながら先端が加速する様子と似ています。ムチのようにしなやかに根元から動き、徐々に先端へとスピードを上げてゆくイメージでからだを使うことが速いボールを投げるコツです。

スポーツバイオメカニクス
健康科学部 健康スポーツ科学科
教授 飯本 雄二


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プロテインを飲めば飲むほど筋肉は増えるの?
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速いボールを投げるためのコツ