スポーツ栄養にまつわる"ウソ"と"ホント"

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スポーツ栄養の現場でアスリートや指導者に信じられているが、実際には「誤解=ウソ」であることや、本当かどうか疑わしく思われているが、実際には「正しいこと=ホント」を整理して、栄養学的に解説。

俗説2

痩せるためには白米を食べてはいけない

判定:ウソ

白米を抜いて痩せても、運動選手としての力を発揮できなくなる可能性が高い。

選手を納得させる科学的解説:
多くの人が、痩せるためには白米などの糖質を避けるべきだと考えている。 これは、糖質を減らすことで体重が減少しやすいと信じているためである。 特に選手は体重管理を重視するため、この考えに陥りやすい。
しかし、この「白米を食べない」方法には大きな問題がある。 十分な酸素が供給されない高い強度での運動では、糖質が主なエネルギー源となる。 運動強度が高まると、心臓が全身に送り出す血液の量が限界に達し、筋肉が酸素不足になる。 このような状況では、糖質=グルコースが最も効率的に利用される。
つまり白米を含む糖質を抜くと、トレーニングや競技中に十分なエネルギーを供給できなくなり、競技力が低下するのだ。 無駄な脂肪を減らすことは重要だが、選手として発展するためには適切な糖質摂取が不可欠にである。 特に白米は、日本人の主食としてバランスの取れたエネルギー源であり、適切な摂取が競技力の向上につながる。

おすすめ指導例:
「白米を食べなければ短期間で痩せることはできるかもしれないが、トレーニングや競技中に必要なエネルギーが不足し、力を発揮できなくなる。 糖質は運動中の重要なエネルギー源だから、適切な量を摂取することが大切だよ」



俗説1

痩せれば速く走ることができる

判定:ウソ

痩せて速くなるのは一時的で、痩せるほど筋力は小さくなるためタイムは伸びなくなる。

選手を納得させる科学的解説:
短距離でも長距離種目でも力が同じであれば、体重が軽い方が速く走ることができる。 筋肉を大きくするのに比べ原料するのは簡単なので、手っ取り速く走るためには、食事を抜いて体重を落とせば良いという考えになりがちである。 とりわけ、長距離選手にその傾向が多いように思われる。 しかし、この方法には発展がない。
一次的には速く走れるようになるかもしれないが、より速く走るためには、さらに痩せる必要があるからである。 痩せれば痩せるほど筋肉は少なくなり、筋力も小さくなってしまう。 速く走るために無駄な脂肪を減らすことは大切だが、選手として発展していくためには、まずトレーニングをして筋肉をつけることが本質的な課題となるはずである。

おすすめ指導例:
「痩せると一時的に速く走れるけれど、痩せるほど筋力が落ち、継続的に速く走るには逆効果。 トレーニングをして筋力をつけることの方が大切だよ」


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